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八条学園騒動記

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第八百三話 和歌を詠む位その三

「そこまで能力高いと」
「文武両道で経営手腕もあって人格者だと」
「ええ、もうね」
 それこそというのだ。
「そうでしょ」
「そうよね」
 彰子も確かにと頷いた。
「実は和歌は然程ってね」
「言われていたの」
「物凄く数は多いけれど」 
 和歌のそれはというのだ。
「何でもね」
「技量はなの」
「家康さんが言うには」
 二人の交流はお互い老齢になっても続いていたのだ。
「そうだったってね」
「言ってたの、家康さんも」
「あの人も教養あったから」
 だからだというのだ。
「和歌のこともね」
「わかったのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「氏真さんの和歌についてはね」
「そう言ってたの」
「そうみたいよ、ちなみにお二人共七十代まで生きてたし」
「当時としてはかなり長生きなのよね」
「古稀って言ってね」
 古来稀という意味である。
「かなりね」
「長生きよね」
「氏真さん長生きでもあったのよ」
 これまで話したこと以外にもというのだ。
「これがね」
「そのこともあるのね」
「そうなのよ」
「いや、だから今は評価高いのね」
「敵が強過ぎただけで」
 それでというのだ。
「負けたのよ」
「そうよね」
「流石によ」
 武田家と徳川家に攻められてはというのだ、尚盟友の北条家も関東で戦が続き全面的に助けることは無理だった。
「負けるわ」
「どうしてもね」
「けれど頼った家臣の人は出来た人で」
「最後まで忠義を尽くしたし」
 朝比奈という、今川氏真は彼は絶対に背かないとわかっていて頼ったのだ。
「それで生き延びて」
「江戸時代まで生きてたし」
「今川家自体は残って」
 ただし大名ではなかった。
「高家としてね」
「江戸時代生き抜いてるのよね」
 こう話した、そしてだ。
 七美は彰子にだ、こう言った。
「考えてみたら氏真さん凄いわね」
「和歌だけじゃないのよね」
 彰子も言った。
「これが」
「見てみたらね」
「無能どころかね」
「結構以上にやり手で」
「しかも性格もいいなんて」
「かなりよね」
「高家っていったら」 
 彰子はどうかと話した。
「かなり格があって」
「幕府も無下にしなかったのよね」
「あの吉良家とね」
 忠臣蔵で知られるこの家と、というのだ。 
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