夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三百九十五話 パンパの野戦その十
「全軍でよ」
「攻めていきますね」
「ここはね」
「そして勝ちますか」
「若し敵軍が東岸に多少でもいたら動かさなかったけれど」
それでもというのだ。
「いないからね」
「動かしますね」
「ええ、東岸の軍も動かすわ」
そうするというのだ。
「ここはね、では皆お願いね」
「やらせてもらいます」
マリアもここで応えた。
「ここは」
「ええ、兎に角今はね」
「攻めますね」
「嵐や吹雪に向かうのではなくてね」
「敵軍に向かう」
「そうして戦うのよ」
こう告げてだった。
アレンカールは主力をセスペデスとマリアに任せイザベルには東岸に行ってもらってだった。
自身は騎兵隊を率いてそのうえでケツアルコアトルに乗って敵軍の左翼に移動した、そしてそこからだった。
突撃を敢行した、セスペデスとマリアも続き。
敵の四倍の軍で殺到した、嵐や雷、吹雪を防ぐのではなくだった。
前に出てそうした、するとだった。
荒天に悩まされなかった。数も用いて敵軍を攻めてそうしてだった。
彼等を圧倒しだしていた、これにはインペルも唸った。
「やってくれるわ」
「そうですね」
「攻めてです」
「気候の変化を避けています」
「思い切ったことをしてきました」
「この頭の回転のよさがな」
それがというのだ。
「アレンカールの持ち味でな」
「それで、ですね」
「前に出て我が軍の方に来て」
「そして戦いです」
「嵐や吹雪を避けていますね」
「一石二鳥、むしろこれこそがな」
アレンカールが執った戦術こそがというのだ。
「勝利の道でな」
「その道に進んだ」
「それならですね」
「このまま進んできますね」
「あの方は」
「そや、攻めてくるわ」
まさにというのだ。
「こうしてな」
「そうですね」
「我が軍の正面と左翼を」
「そして後方にも回ろうとしています」
「東岸の軍が空から渡ろうとしています」
「このままやと囲まれて殲滅される」
インペルはそうなることを見抜いた。
「只でさえ押されてきてるというのに」
「どうされますか、ここは」
「四倍の敵に攻められています」
「そのうえで後方にも回られますと」
「本当に殲滅されます」
「そうなるさかいな」
だからだというのだ。
「撤退するで」
「それしかないですか」
「我々は」
「ああ、ここで退かんとな」
そうしなければというのだ。
ページ上へ戻る