夢幻水滸伝
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第三百九十五話 パンパの野戦その九
「戦いましょう」
「これからな」
インペルも受けて立った、そうしてだった。
両軍は正面から戦に入った、インペルは劣勢を承知で全軍に突撃を命じ自らも先頭に立って神具を出した。
トリトンの笛で天候を操る、大嵐や雷、吹雪をアレンカール達の軍にぶつけそれを攻撃としてだった。
自軍を切り込ませた、剣の神具マルミヤドワーズも振るい戦うが。
アレンカールは冷静にだ、荒れ狂う気候の中セスペデスに言った。
「安心してええわ」
「インペルさん達が攻めてきていますが」
「そうよ、こうしてくることは想定していたから」
だからだというのだ。
「心配しないで、嵐や吹雪はあたい達の方にあるわね」
「はい、敵軍の方は何もありません」
天気は正反対だった、一方は荒れ狂いもう一方は青空だ。
「全く」
「自軍に嵐や雷は向けないわ」
「それは自滅への道ですね」
「そうでしょ、そやからね」
だからだというのだ。
「ここは敵軍に切り込むのよ」
「嵐等に対するのではなく」
「あたい達の本来の敵は誰か」
敵軍を見据えて言った。
「そのことをちゃんとわかっておくことよ」
「戦うべきは敵軍ですね」
「そうよ、そやからね」
だからだというのだ。
「ここはね」
「敵軍に突撃しますか」
「全軍でね、そして敵軍の方に行けば」
そうすればというのだ。
「そこは青空を」
「荒天を避けたいなら攻めよ」
「何よりも勝ちたいならね」
それを望むならというのだ。
「そうすることよ」
「それで、ですね」
「ええ、今からね」
まさにというのだ。
「攻めるわ」
「それでは」
「セスペデスちゃんは主力の中央を受け持って」
アレンカールは彼に告げた。
「マリアちゃんは右翼よ、あたいは機動力のある部隊を率いて敵の左翼に回り込むわ」
「そこから突撃ですね」
「それを仕掛けるわ」
「そうされますか」
「ええ、ここはね」
「わかりました、そしてあたしは」
イザベルはアレンカールに自分の仕事のことを尋ねた。
「ここは」
「イザベルちゃんは一旦川の東に行って」
「あの四万の軍を率いて」
「ええ、まずは南下してね」
そうしてとだ、アレンカールはイザベルに話した。
「敵の後方のポイントで川を渡って」
「敵の後方を脅かすのですね」
「そうしてね、空船や飛行船を送るから」
「空から渡りますか」
「川には敵の水軍がいるから渡れへんけど」
それでもというのだ。
「あらかじめあちらに飛兵を多く配していたのはね」
「そのことを見据えてやったのですね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「既にね」
「そやったんですね」
「そう、そしてね」
それでというのだ。
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