夢幻水滸伝
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第三百九十五話 パンパの野戦その八
「やるわ」
「そうされますか」
「戦を」
「これより」
「そうする、ここは戦う」
こう言ってだった。
インペルは水軍ではなく陸軍を主戦力としてラプラタ川西岸を北上していき。
アレンカールが率いる五十六万の軍と対峙した、そのうえでアレンカールに言った。
「ここでの戦になるな」
「待っていたわよ」
アレンカールも出てきて応えた。
「来てくれることをね」
「そうやったか」
「ええ、絶対に来るとね」
「守っても追い詰められるだけや」
インペルはアレンカールに告げた。
「そう思うからこそな」
「攻めてきたのね」
「劣勢を承知していてもな」
「そこで守りに入らずに攻めるのは流石ね」
「褒めてくれるか」
「そう捉えてくれたら嬉しいわ」
「そうやねんな、自分は皮肉とか言わんしな」
このことは起きた世界での長い付き合いのことから知っている、共に学園だけでなく寮でもよく一緒にいるからだ。
「人への評価は率直や」
「ええ、ちなみに駄目ならね」
「駄目って言うな」
「そうするわ」
「そうやな、そして私はこれからや」
「あたい達と戦うわね」
「そうするわ、劣勢でもな」
見れば確かに軍の規模が違う、アレンカール側の方が遥かに多い。
「戦うで」
「ほな受けて立つわね」
「ああ、しかし考えたもんや」
インペルは今度は川を見た、ラプラタ川は今は静かに流れている。大河に相応しい姿を彼の目に見せている。
「川に機雷を敷くとはな」
「水軍を封じさせてもらったわ」
「そやな」
「これで水軍は動けへんわね」
「ああ、これやとな」
どうにもとだ、インペルは自ら答えた。
「全くな」
「それを狙ってよ」
まさにというのだ。
「こっちも敷いたのよ」
「私は提督、本来は海や川で戦うのが本分」
「そやからよ」
「そちらを使うことを封じたか」
「あたい達の陣の横よ」
機雷原があるのはというのだ、既に民間船を誘導する為に小舟に乗ったその役を果たす将兵達が展開している。
「わかるわね」
「敢えて見せてるか」
「機雷があるとね」
その様にというのだ。
「しているわ」
「そういうことやな、機雷を除去するには時間も手間もかかる」
「少なくとも戦いながらは出来ないわね」
「絶対にな」
「そやから敷いたわ、足止めもまた戦術でしょ」
微笑んでだ、アレンカールは話した。
「海や川でもね」
「その通りや、敵の得意な攻撃を封じることも」
「あたいの作戦は当たってるかしら」
「見事にな、褒めさせてもらうわ」
「今度はあたいが褒められたわね」
「当然皮肉やないで」
「インペルちゃんも皮肉言わへんからね、ほなね」
それならとだ、アレンカールは言った。
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