金木犀の許嫁
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第六十八話 すき焼きも食べてその十
「そうした人はね」
「ドキュンのままで、ですか」
「もう七十になっても」
親からだ。
「お孫さんが出来てもね」
「変わらないですか」
「そんな人もいるのよ」
「なりたくないですね」
心からだ、白華は思った。
「私は」
「普通はそう思うわね」
「はい」
そうだと返した。
「私も」
「そう思うならね」
「経験から学ぶことですね」
「結婚して親になってもね」
「そうですか」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「子育ての内容も」
「酷いですね」
「育児放棄とか」
「暴力もですね」
「振るったりね」
そうしたことをしてというのだ。
「酷いのよ」
「そうなりますか」
「そんなことしたら」
それこそというのだ。
「最低でしょ」
「はい」
白華は一も二もなく答えた。
「本当に」
「そういうことは論外で」
そうであってというのだ。
「間違ってもしてはいけないわ」
「育児放棄も暴力もですね」
「そこはわかっているわね」
「心から」
白華は即座に答えた。
「だから本当にと言いました」
「暴力なんてね」
母は忌々し気に話した。
「抵抗できない相手に振るうものでね」
「そうだと見ていて」
「卑怯なものよ」
「しかも感情で振るう」
「そう、野蛮でもあって」
そうであってというのだ。
「本当にね」
「最低なものですね」
「だから絶対に振るってはいけないわ」
「親でもですね」
「小さな子供を虐待する場合は特にな」
苦い顔でだ、父も言った。酒を飲み葱も麩も食べてそのうえで自分の娘に対してさらに話すのだった。
「最低だな」
「いますね、そんな親が」
「連れ子であってもな」
「子供は子供ですよね」
「そう、そして」
そうであってというのだ。
「まだ小さい子にな」
「暴力なんか振るったら最低ですね」
「それも虐待なんてな」
「酷過ぎますね」
「人間ですらないぞ」
こうもだ、父は言った。
「もうな」
「それこそですね」
「バケモノだ、妖怪とも違う」
「妖怪は普通にいるよ」
佐京はそう聞いても平気な顔で述べた。
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