西遊記
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第五回 悟空蟠桃園暴れるのことその十四
「食べることは医術でもある」
「何でもしっかり食べることだ」
「だからだ」
「哪吒は甘いものだけじゃ駄目だ」
「幸い何でも残さず食べるが」
「甘いものばかりだと駄目だぞ」
「こう言うんですよ」
三太子は兄上達に言われてからまた帝に言いました。
「ですから斉天大聖を捕らえたなら」
「蜂蜜をたっぷりかけた菓子をか」
「頂きたいです」
「ははは、わかった」
帝はお顔を綻ばせて応えました。
「それではな」
「その時はですね」
「朕は帝である」
だからだというのです。
「それ故に約束は破らぬ」
「神界の主だからですか」
「天帝が約束を破ってはだ」
そうしてはというのです。
「誰が約束を守る」
「だからですか」
「朕は約束と法は破らぬ」
決してというのです。
「それ故にだ」
「僕に対してもですね」
「今約束した」
まさにというのです。
「それではな」
「はい、必ず斉天大聖を生け捕りにしてきます」
「宜しく頼むぞ」
「それでは」
「では皆の者出陣に用意をせよ」
帝は神々にあらためて言われました。
「それが整えばすぐにだ」
「出陣します」
天王が応えました、そしてでした。
神界の神々は出陣の準備に入りました、それが整い次第出陣することは言うまでもありませんでした。
その頃悟空は山に戻っていましたが。
事情を聞いてです、猿も魔物達も仰天しました。
「それはまたやりましたな」
「派手なことを」
「西王母様と太上老君とは」
「それはまた」
「うむ、思えば物凄いことをしてしまった」
悟空自身も言います。
「わしもな」
「流石にこれは罰を受けます」
「万歳老もお怒りですぞ」
「それは免れないです」
「どう考えましても」
「そうだな、しかしわしはむざむざ刑罰を受けん」
悟空は猿と魔物達に言いました。
「大人しくというのは性に合わぬ」
「大王はそうですね」
「それなら戦う」
「例え最後は捕まるにしましても」
「そうされますな」
「火は最後まで燃えるものだ」
自分の気のことも言います。
「だからだ」
「それで、ですね」
「この度もですね」
「戦われますな」
「最後の最後まで」
「全力でな、しかし相手は神界の大軍でだ」
彼等が自分を捕らえに来てというのです。
「率いるのは神々だ」
「凄いですな」
「大軍に神々とは」
「それはまた」
「だからだ、去りたい者は去れ」
悟空は領地の者達皆に言いました。
「よいな」
「敵は強い」
「戦っても負ける」
「だからですか」
「帝がご所望はわしのみ」
悟空にはこのことがわかっていました。
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