西遊記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五回 悟空蟠桃園暴れるのことその十五
「わしを捕らえ処罰を下される」
「それが望みであられ」
「我等は入っておらぬ」
「左様ですね」
「そうだ、だからだ」
それ故にというのだ。
「そなた達は去りたい者は去れ」
「そう言われますか」
「我等は」
「敵が強い故に」
「負ければ痛いぞ」
その時はというのです。
「随分叩きのめされな」
「我等も死にませぬが」
「大王が名を点鬼簿から消してくれたので」
「それでもですな」
「負けた時は」
「負ける時はしこたま殴られてだ」
そうなってというのです。
「踏み付けられる、そのうえで降参となるからな」
「確かに痛いですな」
「殴られ締め付けられてとなりますと」
「そうなると」
「だからだ」
そうなるからだというのです。
「去りたい者は去れ、それでもわしと戦いたい者はだ」
「残りですね」
「そうしてですね」
「ここで戦う」
「そうするのですね」
「そうだ」
まさにというのです。
「その時はな」
「その答えは決まっています」
「我等は大王の臣民です」
「大王が大好きです」
「忠義を誓っています」
誰もがこう言いました。
「それならばです」
「残ります」
「残って戦います」
「最後まで戦いましょう」
「我等の強さ見せてやりましょう」
「おお、そう言ってくれるか」
悟空は皆の声を聴いて笑顔で応えました。
「さすればいいな」
「はい、戦います」
「大王と共に」
「神々とも大軍とも」
「そうします」
「わかった、では全力で戦うぞ」
悟空はそれならと応えました。
「よいな、ではこれからだ」
「戦の準備ですな」
「それに入りますね」
「これより」
「そうするぞ、何もせず捕まるなら」
それならというのです。
「わしではない」
「例え何をされようとも」
「捕まえるなら捕まえてみよ」
「それまで戦う」
「それが大王ですな」
「そうじゃ、そんなことをするものか」
絶対にというのです。
「思う存分やってやるわ」
「それでこそ大王です」
「そこに痺れる憧れるです」
「では我等も」
「大王と共に」
「二人の王に元帥、将軍達にな」
悟空は早速軍を率いる将帥の話をしました。
「わしに仕える二つの山の七十二の洞の妖王達も軍を率いてな」
「戦います」
「大王の下に」
「最後の最後まで」
「わしはよい臣民達を持った」
悟空は皆の言葉を聞き満面の笑みで言いました。
「では最後の最後まで戦うぞ」
「はい、それでは」
「そうしましょうぞ」
皆鬨の声をあげました、そうしてそれぞれの武器を高々と掲げました。そのうえで神界の神々と大軍と戦うのでした。
第五回 完
2025・3・15
ページ上へ戻る