星河の覇皇
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第八十八部第四章 当直任務の様にその六十一
「だからね」
「それ故に」
「そんな時間があれば」
「そうすべきですか」
「お酒を飲んでも学ぶものはあるわ」
「お酒自体がですね」
「深いものがあるのだから」
それ故にというのだ。
「それでもいいけれど」
「しかし連合の衆愚の戯言は」
「一切ね」
まさにというのだ。
「気にしなくていいわ」
「そうしたものに過ぎませんか」
「全く以てね、批判は鏡になるわ」
中佐はこうも言った。
「自らを見る、けれど戯言は」
「戯言にしか過ぎないですね」
「聞くだけ無駄よ、また批判と戯言は違う」
「その違いがわかる」
「それも大事よ、それがわかってこそ」
中佐はシュークリームを食べつつ語った。
「賢者の第一歩よ」
「正しい言葉と悪い言葉を見極める」
「悪い言葉を聞けば」
そうすると、というのだ。
「もうね」
「悪くなるだけですね」
「罵詈雑言に従うなぞ何にもならないわ」
こうも言うのだった。
「それを聞けというのはね」
「時間の無駄ですね」
「そして苦痛でもあるわ」
「精神的な」
「罵詈雑言は暴力に過ぎないわ」
こうも言うのだった。
「そうしたものでね」
「暴力は何も生み出しませんね」
「そうよ、そんなものを受けても」
「トラウマを持つだけで」
「何も教訓はないわ」
「トラウマなぞ受けても」
「何の意味もないわ」
中佐は言い切った。
「人間は圧倒的な暴力の前には無力になるわ」
「そして無抵抗になりますね」
「そうなるわ」
「抵抗する気力を失い」
「考えることもしなくなってね」
そうしてというのだ。
「完全によ」
「無力になりますね」
「人にそうさせる力こそが」
まさにというのだ。
「暴力でありね」
「品性の確かな人は使わない」
「そうよ、決してね」
「だから罵倒はですね」
「聞くことはね」
それはというのだ。
「無駄よ、批判とその罵倒の違いをね」
「わかることが」
「賢者になる一歩よ、人の話は聞くべきでも」
「罵倒はですね」
「聞くに値しないわ、ただ」
ここで中佐は難しい顔になって述べた。
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