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星河の覇皇

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第八十八部第四章 当直任務の様にその六十二

「人の話を聞いているつもりでも」
「聞いていない、ですか」
「本人はそのつもりでもね」
 それでもというのだ。
「他の人から見るとね」
「聞いていない、ですね」
「こうした人もいるわね」
「実は私の親戚で」
 兵士は中佐に話した、彼女の後ろに忠実に控えつつ。
「そうした人がいます」
「貴女の」
「叔父ですが実は発達障害で」
 それでというのだ。
「ピアノの先生をしていますが」
「それでもなの」
「ピアノの腕はかなりで修理も出来ますが」
 調律師でもあるがというのだ、この時代でもピアノの修理については演奏以上に特別な技量が要求されるのだ。
「しかし人の話を聞いていない」
「ご本人は聞いていると思っているのね」
「そしてよく注意を逸らしうっかりということも多いですが」
 それでもというのだ。
「熱中しますと」
「集中してなのね」
「他のことに目がいきません」
「それはまさにね」
「発達障害ですね」
「そうね、発達障害の人は」
 それならというのだ。
「そうなるわね」
「やはりそうですね」
「それはもうね」
「仕方ないですか」
「生まれついての障害で」
 それでというのだ。
「今は治るにしても」
「かなりの時間が必要ですね」
「そうしたもので知能的にもね」
「問題ないですね」
「運動でもね」
 こりらでもというのだ。
「軍人になるには不向きではあるけれど」
「どうしても」
「けれどね」
「そうした人がいる」
「それは仕方ないわ、そしてね」
「そしてといいますと」
「この障害は悪いことばかりでないから」
 中佐は発達障害についてさらに話した。
「特殊な才能もね」
「発揮しますね」
「モーツァルトがそうだったわね」
 この偉大な音楽家がというのだ。
「そしてレオナルド=ダ=ヴィンチも」
「あの人もですか」
「万能の天才と呼ばれた。チャーチルも」
 彼もというのだ。
「そうだったらしいわ」
「そうでしたか」
「だから一概にね」
「悪いと言えず」
「差別を受けることもね」
 これもというのだ。
「ないわ、そもそも差別自体がね」
「悪ですね」
「連合はエウロパを差別国家と呼ぶけれど」 
 これも階級制度が存在しているからだ。
「けれどね」
「それでもですね」
「実は違っていて」
 そしてというのだ。
「人権もあるし」
「差別もですね」
「否定されているわ、階級は差別ではないわ」
 中佐はエウロパのこの考えを話した。 
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