西遊記
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第五回 悟空蟠桃園暴れるのことその十二
「然るべき者達に率いさせてな」
「それではです」
そのお話を聞いてです、托塔天王が進み出てきました。天王の三人の息子さん達も一緒にその場にいます。
「それがしにご命じ下さい」
「息子達にもだな」
「お願いします」
「わかった」
それならとです、帝は頷かれました。
「それでは子達と共に行くがいい」
「それでは」
「よし、今度はやっつけるぞ」
哪吒三太子は帝のお言葉を聞いて小躍りして言いました。
「前は引き分けになったしね」
「しかし父上、我等だけで後れを取ったのです」
長男の一太子が天王に言いました。
「ですからここはです」
「我等以外も出陣すべきです」
次男の二太子も言ってきました。
「そうすべきです」
「その通りだ」
帝は二人の太子の言葉をよしとされました。
「他の者達も出陣させる」
「そうされますか」
「そしてだ」
帝はさらに言われました。
「その将は九曜星官に四天王、二十八宿とする」
「うむ、それだけ出ればです」
老君は帝のご決断にまさにと頷きました。
「負けませぬな」
「左様であるな」
「若しこれで勝てぬなら」
それならというのです。
「二郎真君を出陣させるのです」
「あの者をだな」
「真君にです」
老君はさらに言いました。
「梅山の六兄弟を率いれば」
「今出陣を命じた神々に加えてだな」
「もうです」
「斉天大聖も捕らえられるな」
「そうなります」
間違いなくというのです。
「そうなりますぞ」
「我等が出陣しますと」
西王母はこう言いました。
「あまりに力が強く」
「山もそこにいる生きもの達も吹き飛ばしかねん」
「要は悪さをした斉天大聖を捕らえ」
そうしてというのです。
「懲らしめればいいのであり」
「他の者に罪はない」
「ですから」
それ故にというのです。
「山を吹き飛ばす様なことはです」
「せぬことだ」
「はい、ですから」
「我等は出陣せずな」
「他の神々に任せましょう」
「我等が動けば山の一つや二つを軽く消し飛ばしてしまいます」
老君がまた言いました。
「力があまりにも強いうえに」
「我等や如来のお歴々はな」
「そうですので」
「ここは自重しよう」
「はい」
まさにというのです。
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