西遊記
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第五回 悟空蟠桃園暴れるのことその十
「何てことをされたのですか!」
「ほんの悪戯ではないか」
「西王母様の宴を滅茶苦茶にされて」
そしてというのです。
「太上老君様の金丹を全部つまみ食いされるとは」
「そんなに駄目か」
「どの方も天帝様に匹敵する方ですぞ」
「えっ、そうなのか」
「そうなのかじゃないです!」
役人は思わず叫んでしまいました。
「どなたも帝の顧問ですよ」
「何と、そこまでの方々か」
「そうです、まことに天帝に比肩される方々で」
そうであってというのです。
「どれだけ尊いか」
「そうであったか」
「その方々に無礼を働いたとなると」
「怒られるな」
「万歳老ご自身が」
その天帝がというのです。
「もうそれこそ。あの方が怒られますと」
「恐ろしいな」
「処罰は免れません」
「ではどうすればいいのだ」
悟空は流石に自分がしたことのとんでもなさがわかってきました、そのうえで役人に対して言いました。
「わしは」
「大人しく処罰を受けるべきです」
役人は真面目に言いました。
「ここは」
「それは嫌だ、罰を受けるならわしは逃げるぞ」
「逃げられる筈ないですよ」
「いや、しかし処罰を受けるのは嫌だ」
「あの、流石にそれは」
役人もそう言われて呆れました。
「無理です、万歳老のされることですから」
「しかし処罰は嫌だ」
「嫌ではなく仕方ありません」
最早というのです。
「自業自得ということで」
「それ位なら戦うぞ、大人しく処罰を受けてなるものか」
「万歳老にですか」
「神界にだ、斉天大聖の力を見せてやる」
悟空は宝かに言いました。
「今から花果山に戻り戦の準備だ」
「大人しく罰を受けて下さい」
「そんなことはわしの火の気が許さぬ」
「その気が強過ぎます」
「それがわしだ、ではそういうことで山に戻る」
即断即決、悟空は今もそうでした。
「そういうことでな」
「戦ですか」
「そうしてくる」
「どうなっても知りませんよ」
「思う存分暴れてやるわ」
こう言ってでした。
悟空は山に戻ることにしました、そして筋斗雲を呼び出してそのうえで雲に乗ってから役人に言いました。
「世話になったな、また会おう」
「はい、ですが」
役人は悟空に言いました。
「この場合武運長久をと言うべきですが」
「神界との戦だからか」
「私はそこの者なので」
だからだというのです。
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