西遊記
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第五回 悟空蟠桃園暴れるのことその八
「という訳で今から行こう」
「だから無理だって言ってるでしょ」
「次っていうから待ちなさいよ」
「本当に短気ね」
「聞いていた以上よ」
「それがわしだ、では行くぞ」
こう言ってです、悟空は筋斗雲を出しました。それに飛び乗ってそのまま宴の場に行こうとしましたが。
「馬鹿なことは止めなさい」
「本当に行ったら怒られるわよ」
「西王母様怒ると怖いのよ」
「普段は凄く優しいけれど」
「万歳老もそうよ」
「あの方が怒られたらどうなるか」
「そんなことは構うものか」
向こう見ずな気質も出てしましました。
「わしは行くぞ」
「あのね、知らないわよ」
「私達全力で止めるから」
「洒落になってないから」
「本当に止めなさいって」
「ええい、黙っておれ」
悟空の怒りは仙女達にも向かいました、そしてです。
仙女達に金縛りの術をかけて筋斗雲で宴の場に行きました、見れば宴は今丁度すべての準備が整ったところでお客さんは誰も来ていません。
その場にです、悟空は大股で歩いてずかずかと入って言いました。
「おう、わしも楽しむぞ」
「えっ、斉天大聖殿」
「お呼びしていませんよ」
「それでどうしてここに」
「話を聞いて参った、来たからには馳走せよ」
驚く西王母の家臣の人達に胸を張って言います。
「見れば美味そうな馳走と酒ばかりではないか」
「あの、なりません」
「招かれていない方を入れる訳にはいきません」
「この度はしかとした宴です」
「神界のお歴々の方々にです」
「万歳老も来られるのですから」
「そこにわしの名前がないからだ」
悟空はそれでと言いました。
「わしは来たのだ」
「無茶を言わないで下さい」
「今回はお帰り下さい」
「斉天大聖様のことは我等も聞いております」
「大層お強く位の高い方だと」
「では次になります」
「次をお楽しみに」
「次ではなく今だ」
しかし悟空も引きません。
「これから飲んで食うぞ」
「ですからお帰り下さい」
「そうして下さい」
「次です」
「ええい、もう黙っておれ」
悟空はここでも術を使いました、今度は皆を眠らせる術です。その術で場にいる人達を眠らせてそうしてでした。
山海の珍味と美酒を口にしてふんだんに楽しみました、そしてですう。
そのうえで帰りますが酔っていて道を間違えまして。
「ここは何処だ」
「兜卒宮だよ」
「太上老君の宮殿だよ」
金と銀、それぞれの服を着た童子が答えました。
「騒がしいな」
「誰かと思えば斉天大聖じゃないか」
「何の用だい?」
「随分と酒臭いけれど」
「何で間違えたのだ」
悟空は最初わかりませんでした。
「一体」
「酔ってるからだろ」
「それでだろ」
童子達は同時に言いました。
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