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西遊記

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第五回 悟空蟠桃園暴れるのことその七

「そのことはくれぐれもです」
「わかったわ、注意するわ」
「そのこともね」
「そのうえでお話をさせてもらうわ」
 仙女達はそれならとです、役人に答えてでした。
 悟空がいるという木の下に行きました、そのうえで枝の上で昼寝をしているという悟空に声をかけました。
「斉天大聖殿おられますか?」
「昼寝をしておられるそうですが」
「起きて下さい」
「お話があります」
「何だ?」
 言われてでした、悟空は。
 目を覚ましてです、下を見ました。
「何だ、別嬪んさん達が大勢いるな」
「七人よ」
「七人の仙女よ」
「西王母様にお仕えするね」
「西王母様のご命令で来たのよ」
「そうか、今からそこに行くな」
 枝にハンモックをかけて寝ていた悟空はハンモックから飛び降りてです。
 両膝を折って降り立った時の衝撃を殺して着地しました、そうして立ち上がってから仙女達を見ました。
「おお、実際に七人いるな」
「まだ神様になっていないから七人よ」
「七柱とはならないな」
「もうすぐなる予定だけれどね」
「まだ不老不死になったばかりよ」
「そうなのか、それで西王母様から言われてか」 
 悟空は仙女達にこのことを確認しました。
「ここに来たか」
「ええ、そうよ」
「仙桃を頂きにね」
「それで来たのよ」
「わかった、好きなだけ持って行ってくれ」
 悟空はそれならと答えました。
「桃はふんだんにあるからな」
「ええ、それではね」
「持って行かせてもらうわ」
「それではね」
「うむ、してその宴だが」 
 悟空は仙女達に尋ねました。
「わしも出るのだな」
「斉天大聖殿が?」
「宴に?」
「西王母様の」
「わしは大臣に匹敵する位にある」
 悟空は胸を張って言いました。
「それなら当然であろう」
「いえ、斉天大聖殿は入っていないわよ」
「私達ちゃんと参加者の名簿確認したけれど」
「斉天大聖殿は入っていないから」
「残念だけれどね」
「何っ、どういうことだ」
 そう言われてです、悟空は怒りました。そのうえで仙女達に尋ねました。
「大臣のお歴々は呼ばれるのであろう」
「ええ、ちゃんとね」
「神界の確かな方々はね」
「どなたも呼ばれてるわ」
「万歳老もね」
「それで何故わしが入っておらぬ」
 両手を振り上げて抗議しました。
「訳を言え、訳を」
「だって斉天大聖殿まだ神界に来てすぐだし」
「それじゃあね」
「お誘いしていないわ」
「次ね」
「次の宴の時になるわ」
「今にしろ、今に」
 怒ったまま言う悟空でした。
「何なら飛び入りでいいだろう」
「ちゃんとした宴だから無理よ」
「万歳老まで来られるのよ」
「そんな宴なのに」
「出来る筈ないでしょ」
「そんなこと聞けるか、こうなったら意地でも出てやる」
 怒ったらどんどんいきます、止まりません。 
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