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西遊記

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第五回 悟空蟠桃園暴れるのことその六

「今はあの園に管理する者がいますが」
「斉天大聖殿ですね」
「何でも石から生まれた猿だとか」
「恐ろしく仙力の強い」
「そうした御仁だとか」
「随分気が短くやんちゃだと聞いています」
 西王母は悟空のこの気質を知っていました。
「ですから」
「はい、注意しておきます」
「そうした御仁ですと」
「怒らせては大変なので」
「幸い根は明るくいいそうなので」
 だからだというのです。
「変に刺激せずにです」
「お話をします」
「そうして頂いていきます」
「そうさせてもらいます」
「その様にお願いします」
 こうお話してでした。 
 仙女達は園に来ました、ですが。
 悟空の姿が見えません、それで役人に尋ねました。
「斉天大聖殿は?」
「お姿が見えないけれど」
「どちらなの?」
「昼寝をすると言われて」
 役人は仙女達に正直に答えました。
「それで、です」
「お昼寝中なの」
「そういえばそうした時間ね」
「そうね」
「はい、それでいつもあの木の上で寝られます」
 園のひときわ大きな気を指差してお話します。
「ですから」
「わかったわ、あの木の下に行って」
「そうしてね」
「私達が声をかけるわ」
「そうされて下さい、あとです」
 役人はさらに言いました。
「斉天大聖様はいびきが凄いので」
「ああ、聞こえてくるわ」
「凄いいびきね」
「物凄いわね」
「それに歯ぎしりもです」
 こちらも聞こえてきました。
「かなりのものなので」
「そうみたいね」
「何かわかりやすいわね」
「どうした神様かね」
「はい、ですが裏表はなく」
 そうであってというのです。
「お仕事はしっかりとされるので」
「安心していいわね」
「そういえば園は整っているわね」
「奇麗ね」
「自ら掃除もされて」
 そうしてというのです。
「奇麗にもされるので」
「だからなのね」
「お仕事についてはなのね」
「安心していいのね」
「はい、確かにやんちゃで気が短くつまみ食いもされますが」
 やはりわかっていました。
「それでもです」
「根はいい方と聞いていたけれど」
「本当なのね」
「そうした方なのね」
「はい」
 仙女達に答えます。
「そのことはね」
「事実だから」
「安心していいのね」
「短気と聞いてるけれど」
「あっ、短気なのは事実なので」
 役人も否定しません。 
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