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金木犀の許嫁

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第六十七話 白華のお見合いその二

「特に距離を知っているから」
「遠いからな、ニュージーランドは」
「本当に」
「だからな」 
 それでというのだ。
「随分かかったと思っているな」
「どうもあまり寝られなかったし」
「多分ずっと寝ていましたら」
 それならとだ、白華は言った。
「あっという間でしたね」
「寝ている時は時間を感じないからね」
 佐京も言った。
「だからね」
「本当にすぐでしたね」
「多分あまり寝られなかったのが一番大きいね」
「そうですね」
「久し振りの日本で」
 父が寝られなかった理由を話した。
「二人それに夜空ちゃんに会うことが出来て」
「真昼ちゃんともね」
「しかも幸雄さんもおられるからな」
「余計にね」
「私もですか」
 今は幸雄もいて応えた、昨日の夜まで伊賀の馴染みの人達に挨拶をして回っていたが今は白華達と一緒にいる。
「お会い出来て、ですか」
「やはり真田家の方は違います」
 父は幸雄に礼儀正しく答えた。
「幸村公からの間柄ですから」
「私達十勇士のお家は長きに渡り真田家にお仕えしてきました」
 母も言った。
「維新以降も神戸で共に暮らしています」
「それで意識せずにいられるか」
「到底です」
「真田家と十勇士のお家はこれからも一緒です」
「初代の方々がそうであられた様に」
「だからですか。思えが生きるも死ぬも共にと」
 幸雄は佐京達の両親の言葉を受けて話した。
「幸村公と十勇士の方々は誓い合いました」
「主従だけでなくでしたね」
 夜空も猿飛家、十勇士の家の血筋の者として応えた。分家とはいえやはり家のことを意識せずにはいられないのだ。
「お友達、義兄弟として」
「そう誓い合いました」
「幸村公と十勇士の方々は」
「私達のご先祖は」
「そうしたので」
「事実大坂の陣の後も薩摩で共に生きて」
「何でも世界を十年巡られたそうですね」
「そうして帰られて」
 そうしてというのだ。
「どの方も薩摩で天寿を全うされ」
「代々薩摩で名を変えて暮らしていましたね」
「そのうえで維新を迎え」
「幕末は薩摩藩で隠密として陰で活躍して」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「維新以降は神戸で暮らしています」
「八条財閥、戦後はグループで働いて」
「暮らしています、八条町の山の方で」
「十勇士のお家がそれぞれありますね」
「真田家のお家も」
「そうですね」
「そうした間柄です」
 幸雄はまさにと話した。
「私達は」
「ですから」 
 今度は佐京達の母、神世が応えた。 
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