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金木犀の許嫁

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第六十七話 白華のお見合いその三

「久し振りにお会い出来ると思うと嬉しくて」
「だからですか」
「あまり寝られませんでした」
「十勇士の家は今もお付き合いが深いですね」
 父の佐吉も言った。
「ですから」
「それで、ですか」
「あまり寝られませんでした」
「そうでしたか」
「あの、やっぱりです」
 真昼はこう二人に言った、
「寝られた方がいいです」
「わかっているけれどね」
「寝られなかったのよ」 
 二人で真昼に答えた。
「これがね」
「嬉しくてね」
「特にお見合いのことがね」
「白華のね」
「私ですか、別にです」
 白華は両親のその言葉に応えた。
「気にしなくてもです」
「いや、気にするだろう」
「普通にね」
 両親は別にという感じで言う娘にすぐに返した。
「自分達の子供のお見合いは」
「それで結婚するかどうか決まるんだからな」
「意識するわ」
「佐京の時もそうだったしな」
「成功するとは思っていても」
「あれこえ考えるしな」
「それでどうしてもね」
 二人で話した。
「飛行機に乗っている間だけでなく」
「ニュージーランドを発つ前から寝られなかったんだ」
「そうですか、それってやっぱり」
「親だからな」
「当然のことよ」
 白華に微笑んで話した。
「白華も親になったらわかるぞ」
「その時にね」
「そうなのですね、お見合いは本当に大事ですね」
「ああ、本当にな」
「そうしたものよ」
「それならです」
 二人の話をここまで聞いたうえでだ、白華は言った。
「お見合い必ずです」
「成功させるんだな」
「ちゃんとして」
「そうします、振袖を着せてもらって」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「お見合いをするな」
「これから」
「はい、ただ場所は」
 白華はここでこちらのことを確認した。
「このお寺でなく」
「伊賀の料亭だ」
 父が答えた。
「そちらになるぞ」
「そうですね」
「うちのグループの系列のな」
「八条グループのですね」
「そこでやるんだ」
「そうですか」
「もう時間も決まっているから」
 母も言ってきた。
「だからね」
「その時間になればですね」
「ええ、お見合いがあるから」
「もう準備は出来ていますし」
「だからね」
 それでというのだ。
「その時は振袖を着て」
「出てね」
「わかりました」 
 白華は確かな声で答えた。 
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