西遊記
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第四回 悟空斉天大聖となるのことその十四
「それで斉天大聖とやらになったが」
「自分でそう称してな」
「太白金星様の申し出で認められてだ」
「神界に戻ったな」
「そうだったな」
「あの者だが」
苦い顔で言うのでした。
「全く以てだ」
「我儘でな」
「勝手が過ぎるな」
「困った者だ」
「実にな」
「一度頭を冷やすべきだ」
大将はこう言いました。
「あの者はな」
「何でも火の気があまりに強く」
「あの様な気質らしいな」
「実に短気でやんちゃでな」
「賑やかな者らしいな」
「そうした者を抑える為にだ」
その為にというのです。
「他の気の者が必要か」
「水、木、金、土とな」
「五行が必要だな」
「やはり」
「うむ、そしてだ」
そのうえでというのです。
「その火を抑えるべきだな」
「全くだな」
「さもないと大変なことにもなるぞ」
「あれだけ騒がしい者は」
「また何かするやもな」
「これからも」
「そうした者がいればいいが」
大将は心から思いました。
「誰かな」
「そうだな、そして聞いたが」
ここで同僚の一人が大将に言ってきました。
「お主下界にか」
「一時下りるという話だな」
「そうした話が出ているそうだな」
「どうなるかわからんが」
大将はそれでもと答えました。
「その時はな」
「下界での務めを果たすか」
「そうする」
実際にというのだ。
「お役目だからな」
「そうするか」
「そしてだ」
大将はさらに言いました。
「己も高める」
「そうもするな」
「是非な」
こう言うのでした。
「若しそうなればな」
「うむ、励め」
「お主ならどんな仕事でも大丈夫だ」
「神界で天蓬元帥と並び称されるまでに強い」
「その斉天大聖にも少し劣る位だからな」
「哪吒太子と一騎打ちでも劣勢だが負けぬ」
大将は言いました。
「だからだな」
「うむ、きっとだ」
「下界に言っても大丈夫だ」
「きっとことを果たすぞ」
「そうするぞ」
「その言葉励みにさせてもらう」
大将は同僚達に実直な声で答えました、そのうえで仕事の時間になると率先してそちらに戻ったのでした。
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