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西遊記

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第四回 悟空斉天大聖となるのことその七

「よい、その様にだ」
「天帝陛下にもですか」
「申し上げよう」
「そうされますか」
「うむ、そして斉天大聖と書いた旗をだ」
 それをというのです。
「作りな」
「そうしてですか」
「この洞の門にだ」
 そこにというのです。
「掲げよう」
「それでは」
 鬼王も頷きました、他の者もでした。
 こうして孫悟空は斉天大聖と名乗りその旗を高々と掲げました、ですがこの時天帝は悟空が怒って下界に帰ったと聞いてでした。
 いささか眉を顰めさせてです、こう言いました。
「全く、短気とは聞いていたが」
「もうこうするとはですな」 
 火星が応えました。
「思いませんでしたな」
「どのみち官位は上げるのにだ」
「いきなり一番下が嫌と言って」
「帰るとはな」
「短気が消えますな」
「うむ、ではだ」
 それではというのです。
「すぐに連れ戻す」
「そうされますか」
「それでだ」 
 即座にです、帝はある親子を呼びました。一柱は托塔李天王もう一柱はその息子の哪吒三太子です。その
二柱の神々を呼んで命じました。
「孫悟空を連れ戻してくるのじゃ」
「わかりました」
 まずは立派な黒い服と鎧兜に身を包んだ天王が応えました。
「さすれば」
「うむ、それでじゃ」
「はい、僕がですね」 
 やはり黒い服と鎧兜に身を包んだ子供の姿をした太子が応えました。
「全力で」
「相手は強い、だからな」
「手加減は無用ですね」
「多少手荒にしても構わぬ」
 帝はこうまで言われました。
「だからな」
「あの姿になってもいいですか」
「そうしてもよい」
 こう太子に言われました。
「是非な」
「それでは」
「何と、倅にあの姿になってもよいとは」 
 天王は帝の言葉に驚いて言いました。
「噂は聞いていますが孫悟空という者」
「かなりの強さだ」
「そうなのですね」
「だからだ」
 それ故にというのです。
「太子にもだ」
「そう命じられますか」
「してそなたの嫡男と次男もだ」
「金吒と木吒もですか」
「連れて軍を率いさせてな」
「戦うのですか」
「僕は軍を率いるよりも自分で戦うのは好きです」
 太子はこう言いました。
「それで率いるのは」
「不得意であるな」
「父上や兄上達とは違い」
「だからじゃ」 
 太子はそうした神だからだというのです。 
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