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西遊記

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第四回 悟空斉天大聖となるのことその六

「大王にあの役職は低いです」
「お主もそう思うな」
「あちらは確かに凄い方がおられますが」
「わしも凄いぞ」
「そのお力に見合うものではありません」
「そうであるな」
「それでなのですが」
 鬼王はさらに言いました。
「ここは義兄弟の方々の様に名乗られてはどうでしょうか」
「弟達の様にか」
「左様です」
「というとだ」
 悟空はそれならと答えました。
「何とか天大聖とでもか」
「名乗られては」
「ではだ」
 悟空は鬼王の言葉を受けて言いました。
「わしの力に見合うだけのだ」
「お名前にされますか」
「そうだな、天に斉しい」
「斉天ですな」
「そうだ、斉天大聖だ」
 まさにといいました」
「わしはだ」
「その様にですか」
「これからは名乗り」
 そうしてというのです。
「神界にも言うか」
「その様に」
「わしは斉天大聖だとな」
「そこまでの方だと」
「そう言おうか」
「そして役職もですか」
「うむ」
 まさにというのです。
「その様にだ」
「高いものにですか」
「する様にとな」
 その様にというのです。
「言おう」
「さすれば」
「よし、今からだ」 
 悟空は立ち上がって言いました。
「わしはこれより斉天大聖と名乗る」
「他の大王の方々の様に」
「うむ、まさにだ」
 文字通りにというのです。
「天に斉しいな」
「偉大な方ですね」
「そうだと名乗る、そして神界にもな」
「その役職で、ですね」
「認めてもらおう」
「その様に」
「はっきり言えばだ」
 悟空はさらに言いました。
「わしは禄はいらぬ」
「興味がおありでない」
「山で採れるもの、掘れるものでな」
 そうしたものでというのです。
「充分だ、だからな」
「禄はいらず」
「職もだ」 
 これもというのだ。
「結局のところわしは遊ぶのが好きだ」
「お仕事よりも」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「それもいい、つまりはな」
「位ですな」
「それが高いならな」
 それならというのです。 
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