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西遊記

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第四回 悟空斉天大聖となるのことその五

「暮らすことだ、ではな」
「これよりですか」
「またここで暮らすぞ」
 こう言って水簾洞に戻ろうとすると元帥の一人がやって来てそのうえで悟空に対してこう言ってきました。
「大王、独角鬼王と名乗る方が来られています」
「誰だそれは」
「犀の頭の神仙の方で」
「ふむ、そうなのか」
「白い服と鎧兜を身に着けておられます」
「そうか、わかった」
「どういった方か」
 悟空に言いました。
「左様ですか」
「それで何と言っておる」
「大王に会われたいと」
「わしが戻って来たことを察したか」
「神仙の方ですから」
 だからだというのです。
「神通力で」
「察したか」
「はい、そして」
 それでというのです。
「どうされますか」
「会おう」
 悟空はすぐに答えました。
「わしに会いたいのならな」
「それならば」
「うむ、ここに通せ」
「それでは」
 こうしてでした、悟空は鬼王と会いました。鬼王は七十二の洞の王達を引き連れて拝謁しました。そのうえで言うのでした。
「我等大王にお仕えしたくです」
「ここに来たか」
「参上しました」
 そうだというのです。
「この度」
「そうなのだな」
「はい、そして」
 鬼王はさらに言いました。
「お返事は」
「来る者は拒まずだ」
 悟空は笑って答えました。
「わしはな」
「それでは」
「うむ、是非だ」
 笑顔のまま言うのでした。
「宜しく頼むぞ」
「それでは」
「そしてだ」 
 悟空はさらに言いました。
「お主はわしの重臣の一人にしよう」
「そうして下さいますか」
「そうしよう、また洞王達もな」
 七十二の彼等もというのです。
「是非な」
「家臣にですか」
「任じる」
 そうするというのです。
「ここにな」
「そうですか、それでなのですが」 
 鬼王は銃身に任じられてからさらに言いました。
「大王は神界から去られましたが」
「そうした」
 悟空もまさにと答えました。
「今帰ってきたばかりだ」
「左様ですね」
「それがどうしたのだ」
「いえ、確かにです」
 鬼王は畏まってお話しました。 
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