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西遊記

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第四回 悟空斉天大聖となるのことその三

「これはよく走るぞ」
「万歳老もお喜びだろう」
「よい働きをしておるな」
「これが後の役職にも生きるぞ」
「うむ、半月位働いてな」
 悟空は義兄弟達にまさにと応えました。
「この通りだ」
「よく食わせ眠らせてだな」
「毛の手入れもして」
「厩も常に奇麗にし」
「水もたらふく飲ませているな」
「運動もよくさせておるぞ」
 悟空はそちらも忘れていません。
「日々よく走らせておる」
「それも忘れぬな」
「食わせるだけでなく」
「そうもしておってか」
「馬の仕事は万全か」
「それにだ」
 悟空はさらに言いました。
「泳ぎも教えておる、わしは泳げるが水はちと苦手に思うのだがな」
「それでもだな」
「兄弟は教えておるな」
「馬達に泳ぎも」
「神界の馬は空も飛べるがそれだけでは足りぬ」
 そう思ってというのです。
「そちらも教えておる」
「尚更見事だ」
「それを言われて我等も神界に戻ったかいがある」
「お偲びだがな」
「そうしたかいがある」
「そういえばお主達人界での務めがあるわ」 
 悟空は義兄弟達の言葉にまさにと応えました。
「それが終わるまで神界や仏界には入られぬか」
「表立ってはな」
「堂々と入ると菩薩様達に叱られる」
「今は人界におれと」
「そして務めを果たされよと」
「そうだな、菩薩様達はお優しいというから強く叱られぬにしろ」
 悟空はそれでもと言いました、そして神界のお酒や様々な珍味を義兄弟達と共に楽しんでいきます。
「それは困るな」
「お仕えしている方に言われるとな」
「やはりな」
「流石にしょげる」
「だからお偲びだ」
「そうだな、しかしお主達も役職があり」
 神界や仏界でというのです。
「わしもとなった、だから励むぞ」
「そうするがいい、そこからどんどん偉くなるのだ」 
 牛魔王は酒を飲みつつ笑って応えました。
「兄弟ならきっと遥かに偉くなるぞ」
「待て、今遥かにと言ったな」
 悟空は牛魔王のその言葉にあるものを感じて聴き返しました。
「そうだな」
「そうだが」
 牛魔王もまさにと答えます。
「官位がな。宰相殿にまでな」
「わしの今の役職は宰相ではないのか」
「とんでもない、一番低い方だぞ」
 一大王が言いました。
「むしろわし等よりずっと低いな」
「そうだな」
 二大王も言います。
「我等は神仏の乗りものだったりするからな」
「わしなぞこの世を覆わんばかりに大きい」
 三大王はそれでと言います。
「それで皆と同じ位だ」
「それなりの位にはあるな」
 黄風大王はまさにと言いました。
「我等はな」
「兄弟の今の官位は本当に神界では一番の下っ端でな」
 最後に賽太歳が悟空に言います。 
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