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西遊記

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第四回 悟空斉天大聖となるのことその二

「それは言っておくぞ」
「それはまた」
「それでだ」
 金星はさらに言いました。
「わかっておるが御前ではな」
「礼儀正しくですね」
「普段はその態度でよいが」
 しかしというのです。
「万歳老の御前ではな」
「礼儀を弁えて」
「そしてだ」
 そのうえでというのです。
「畏まるのだ、よいな」
「わかってますよ」
 明るくです、悟空は応えました。
「それなら」
「うむ、しかとな」
「礼儀を守り」
「そしてだ」
 そのうえでというのです。
「お会いせよ」
「そうします」
 悟空も約束しました、そしてです。
 実際に天帝の御前、五色の宝玉で飾られた階段の上にある帝の座に座られ黄色の衣に独特の冠を被った方のそちらに出ました。そのうえで膝をつき畏まって名乗りました。
「孫悟空と申します」
「そなたのことは聞いている」
 天帝は鷹揚に応えられました。
「花果山の石から生まれた猿だな」
「その通りでございます」
 悟空は金星に約束した通りに礼儀正しく答えました。
「それがしは」
「仙術を備えたな」
「お師匠様につき修行を重ねて」
「そして不老を備え」 
 帝はさらに言われました。
「不死にもなったな」
「十大冥王に言って」
「全て聞いている通りだ」
「左様でありますか」
「そして不老不死になったならな」
 それならというのです。
「神界において官位を得る資格がある」
「それでそれがしはですか」
「この度官位を与える」
「有り難き幸せ」
「その官位だが」
 帝は少し考えてから仰いました。
「御馬監の執事の座が空いておる」
「そうなのですか」
「前の者が新しい役職に就いてな」
 そうなりというのです。
「空いた、だからそこにだ」
「それがしを任じて頂けますか」
「弼馬温という」
 その役職名はというのです。
「それにだ」
「就いてですな」
「職務に励むがよい」
「畏まりました、ではこそれがしも晴れて」
「神界の官吏でありますな」
「そうなったのだ」
「ではその職務に励みます」
 悟空は笑顔で応えました、そして神界の馬達の世話をはじめました、悟空は分身し仙術も用いて馬を育て。
「丸々と太っておるのう」
「見事なものだ」
「流石は我等の義兄弟」
「それも長兄だけはある」
 牛魔王をはじめとして六大王は悟空に神界に呼ばれて入りその馬達を見て笑顔で言いました、悟空は厩の傍に宴の場を設けています、そこで飲み食いしながらお話しています。 
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