西遊記
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第四回 悟空斉天大聖となるのことその一
第四回 悟空斉天大聖となるのこと
孫悟空は天帝の宮殿に案内されました、恐ろしいまでに巨大でかつ壮麗な様々な玉や銀や金で飾られた五色の宮殿の中を見回して言いました。
「これはまた凄い」
「驚いているな」
「ええ、飛び上がらんばかりに」
案内をしてくれる金星に言いました。
「驚いていますよ」
「これがだ」
金星は悟空にお話しました。
「万歳老の宮殿でな」
「万歳老はここにですな」
「お住まいだ」
「そうなんですね」
「それだけの方ということだ」
天帝はというのです。
「我等神々とだ」
「神界を治められている方なので」
「住まわれる場所もこの通りでな」
金剛石の床を進みつつ言います、窓は水晶になっています。
「お力もな」
「物凄いものですか」
「誰も勝てぬ」
「というと金星様も」
「無論だ」
「へえ、そこまでなんですか」
「格が違う」
天帝はというのです。
「それこそな」
「今はですか」
「今は?」
「ええ、皆強くなりますよね」
こうもです、悟空は言いました。
「どんどん」
「それはその通りだが」
金星も否定しませんでした。
「しかしな」
「万歳老のお力はですか」
「別格であられてな」
そうであってというのです。
「とてもな」
「金星様ではですか」
「適わぬわ、誰もな」
「へえ、そんなお強いんですね」
悟空は歩きつつ腕を組んで言いました。
「それはまた」
「それがどうかしたのか」
「いや、わしはです」
悟空は自分の前を歩く金星に言いました。
「この世で一番です」
「強いと思っていたか」
「わしが」
悟空自身がというのです。
「そうですが」
「確かに強いな」
金星も否定しません。
「お主は。また強さに限りがあるか」
「ないですね」
「強くなろうと思えばな」
そうであればというのです。
「何処までもな」
「強くなれますな」
「うむ、しかしな」
「しかしですか」
「そうおいそれとはな」
それこそというのです。
「万歳老には及ばぬ」
「そうなんですか」
「万歳老仏界だと釈尊だ」
「お釈迦様ですね」
「この方々にはな」
「簡単にはですか」
「及ばぬ」
そうだというのです。
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