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西遊記

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第三回 孫悟空武器を手に入れるのことその十五

「仏界の方です」
「菩薩や観音に仕えるな」
「そうした方です」
「だからな」
 それでというのです。
「五人いや五柱か」
「その方々も神仏と言っていいので」
「はたまた五仏か」
「人でないことは確かですな」
「そして妖怪でもない」
 そうした存在でもないというのです。
「そうなるとな」
「神仏ですな」
「そしてな」 
 悟空はさらに言いました。
「わしもその中におる」
「不老不死の神仙として」
「そうじゃ」
 まさにというのです。
「そうなっておる」
「左様ですか」
「しかしわしだけ違うな」
 悟空は笑ってこうも言いました。
「皆神仏に縁があるが」
「大王は石から生まれられたので」
「誰にも仕えておらぬからな」 
 だからだというのです。
「このことはな」
「違いますな、確かに」 
 魔王が見てもでした。
「そのことは」
「そうじゃな」
「大王については」
「しかしそのわしをじゃ」
「六大王の方々は受け入れて下さいましたな」
「義兄弟としてな」
「では尚更ですな」
「固い絆を感じておる」
 そうだというのです。
「実にな」
「それはよいことですな」
「うむ、そしてな」
 悟空はさらに言いました。
「あの者達とはこれからもな」
「絆を確かなものとし」
「そしてじゃ」 
 そのうえでというのです。
「親しくしていきたい」
「それがいいですな」
「してな」
 そしてというのです。
「例え喧嘩をしてもな」
「仲直りをして」
「そしてな」
「仲よくですな」
「やっていきたいものだ」
 こうも言うのでした。
「義兄弟になったからにはな」
「それならば」
「誓い合ってな」
 そしてというのです。
「盃を交わしたのじゃ」
「それならば」
「お互い意見や立場が違うとな」
「喧嘩もしますな」
「そうした時もあるが」
 それでもというのです。
「しかしじゃ」
「喧嘩の後で和解をして」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのです。
「また盃を交わす」
「そうした間柄に戻りますな」
「それが兄弟であろう」
「俗に言われていますな」
 魔王も確かにと頷きます。
「そのことは」
「だからだ」
「そうされますな」
「皆いい奴だ」
 義兄弟になった王達はというのです。
「粗忽なところがあろうとも」
「その根はですか」
「いい奴等だ」
「それは大王と同じですな」
 魔王は悟空の言葉を受けて彼に言いました。
「大王もです」
「根はいいか」
「ご自身が言われる通り確かに短気ですが」
「それでもか」
「はい、根は明るく裏表がなく」
 そうであってというのです。
「面倒見もよい」
「いい奴か」
「そう思いまする、だからこそです」
 それ故にというのです。
「天帝も声をかけられたのです」
「そうであるか」
「若し力があろうとも心が悪いと」
「征伐されるな」
「そうなります」
「神界の天将達が送られてな」
「そうはならないので」
 それでというのです。
「大王もです」
「いい奴で天帝陛下もか」
「呼ばれているのです、では」
「うむ、それではな」
「行ってらっしゃいませ」
「そうして来る」
 魔王に笑顔で応えてでした。
 悟空は筋斗雲を呼ぶとそれに飛び乗ってそのうえで神界に飛んでいきました、魔王も他の者達もその彼を笑顔で見送りました。


第三回   完


                     2025・3・1 
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