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金木犀の許嫁

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第六十六話 良心を待ちながらその五

「何これですよね」
「出て来るお料理酷いわよね」
「異様に粗末です」
「質素じゃなくてね」
「朝ご飯とティータイムが有名ですが」
 どちらもイギリスの数少ない美味しいものと言われている。
「日本で食べた方が美味しいそうですし」
「同じメニューを同じ食材で使っても」
「味付けが違っていて」
 そしてというのだ。
「食材の質もです」
「日本の方がよくて」
「それで日本だと下ごしらえもしまして」
「揚げものの下に紙も敷くし」
 そうしたこともするからだというのだ。
「だからね」
「美味しいですね」
「というかね」
 夜空は首を傾げさせながら言った。
「イギリスがね」
「あんまりですね」
「下ごしらえとかしないで」
 それでというのだ。
「味付けもお塩やお酢とか」
「それ位ですね」
「あまりしないし火加減も」
 これもというのだ。
「考えてないみたいだし」
「だから美味しくないですね」
「鰊やザリガニをパイにしても」
 こちらの料理のことも話した、特に鰊のパイはお世辞にもいい意味ではないという方で有名な料理である。
「ちょっと、ね」
「ないですね」
「そうしたお料理なのよね」
「鰻のゼリーにしても」
「生のままパイに包んで」
 そうしてというのだ。
「焼いたみたいな」
「それで美味しくなる筈ないですね」
「そうよね、けれどちゃんと作ったら」
 そのイギリス料理をだ。
「やっぱりね」
「美味しいですね」
「そうみたいね」
「私も下ごしらえはするし」
 真昼も言ってきた。
「それ位はね」
「しますね」
「ええ、それでドリトル先生読んだら」
 どうかとだ、真昼は白華に話した。
「結構お料理出るけれど」
「どうなんですか?」
「美味しそうなのよ」
 こちらの料理はというのだ。
「舞台はイギリスだけれど」
「ドリトル先生もイギリス人で」
「ハドルビ0ー在住のね」
「今は日本におられますね」
「それで大学で先生やってるわ」
「八条大学で」
「私達の高等部の上のね」
 その学校のというのだ。
「医学部の教授さんよ」
「そうですね」
「それでどのドリトル先生の本を読んだら」
 舞台がイギリスでもというのだ。
「これがね」
「美味しそうですね」
「多分ちゃんと作られているから」
 家の家事担当の家鴨ダブダブの手によるものだ。 
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