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金木犀の許嫁

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第六十六話 良心を待ちながらその二

「兄弟みたいな間柄だけれど」
「ニュージーランドとオーストラリアは」
「そうだけれどね」
 それがとだ、白華に話した。
「距離はね」
「離れていますね」
「日本と台湾よりもね」
「そうですね」
「海を結構進んで」
 タスマン海を渡ってだ。
「行き来していますね」
「そうなのよね」
「意外なことに」
「海峡位しか離れていない様で」
 そうとまで感じられる間柄だがというのだ。
「実はね」
「離れていますね」
「それで日本とは」
「物凄く離れていますね」
「だから船で行き来したら」
「かなりの時間がかかりますね」
「昔だと一年かかっても」
 真昼もこう言うのだった。
「不思議じゃなかったわ」
「そこまででしたね」
「ええ、けれどね」
 それがというのだ。
「今は飛行機でね」
「一日ですね」
「そうなったわ」
「まさに文明の進歩ですね」
「有り難いわね」
「それで父さん母さんは」
 白華は明るく笑って話した。
「もう少しで、です」
「ここまで来てくれるわね」
「伊賀まで。そして来てくれたら」
 そうなればというのだ。
「お見合いです」
「いよいよね」
「私振り袖着るそうです」
「それって私と同じね」
 振袖を着ると聞いてだ、夜空が言って来た。
「お姉ちゃんとも」
「そうですね、士族のお家なので」
「お見合いの時はね」
「きちんとした服装ということで」
「どうしてもね」
「女の子は振袖ですね」
「そうなるわね」
「それで私もですね。もう着物は用意しています」
 振袖はというのだ。
「実は事前にです」
「こっちになの」
「送ってもらっていまして」
「用意がいいわね」
「そうですね、それを着まして」
 それでというのだ。
「いざです」
「お見合いにね」
「行かせてもらいます」
 是非にというのだ。
「その時は」
「それじゃあね」
「それで、ですが」 
 さらにだ、白華は夜空に話した。
「もう豊さんとは打ち解けましたがどうしても緊張しますね」
「本番になると」
「そうなると思います」
 こうも言うのだった、白華は今はいささか不安そうな顔になっている。その顔で夜空に言うのだった。
「自分では」
「そうした時は手のひらに人って書いて」
 真昼が笑って話した。 
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