西遊記
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第三回 孫悟空武器を手に入れるのことその十四
「では留守は頼んだぞ」
「はい、行ってらっしゃいませ」
「神界でも達者で」
「吉報を待っています」
「それではな」
悟空はいざ旅立とうとしました、ですがここで魔王に言われました。
「して大王」
「何じゃ、最後に何かあるか」
「聞き忘れていましたが」
こう前置きして言うのでした。
「大王の義兄弟の方々ですが」
「牛魔王達じゃな」
「それぞれかなりの方々ですな」
「元々は神仏に仕えるな」
「そうですな」
「牛魔王は太上老君の乗る牛という」
「何と、それは凄い」
魔王も他の者達もそう聞いて驚きました。
「とんでもないまでに位の高い方ですな」
「そして蛟魔王は象でな」
それでというのです。
「普賢菩薩の象じゃ」
「あの白象様ですか」
「そして鵬魔王は文字通り鵬じゃ」
「あの巨大な神鳥様であられ」
「獅駝王は文殊菩薩の獅子だ」
この魔王はというのです。
「この三人はよく共にいてな」
「それで、ですか」
「獅駝王が一大王でな」
そうであってというのです。
「蛟魔王は二大王、鵬魔王は三大王」
「そうなっていますか」
「うむ、そして寝候王は霊吉菩薩の庭に住む貂じゃ」
「あの生きものじゃ、そして偶従王は」
最後のこの大王はといいますと。
「賽太歳といって観音菩薩を乗せる」
「その方も凄いですな」
「この六大王がじゃ」
悟空は笑って言いました。
「わしの義兄弟となった」
「錚々たる面々ですな」
「何でも今人界ではそれぞれの神仏の使いが降り立っておるという」
「それはまたどうして」
「何でも試練を与える高僧が出るという」
悟空は義兄弟の王達から聞いたことを言いました。
「それでじゃ」
「その高僧に試練を与える為に」
「それぞれの使い達がな」
「人界に下りてですか」
「その時を待って今はそれぞれの土地を治めているそうじゃ」
「人を治めているのですか」
「いや、そこにいる魔物達をな」
彼等をというのです。
「基本人には試練に関わらぬとな」
「関わることはない」
「そうらしいな」
「そうですか」
「そしてな」
悟空はさらに言いました。
「この者達も役目が終わればな」
「神界に戻られますか」
「若しくは仏界にな」
そちらにというのです。
「今話してわかったであろう」
「はい、牛魔王以外の方はです」
魔王はまさにと答えました。
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