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ハッピークローバー

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第百七十一話 家に帰ってその二

「本当に怖いのは」
「人間だよね」
「怨霊もね」  
 日本で最も恐れられている存在だ、歴史上日本では何度も怨霊を鎮めてきた。そうして国を護ってきたとも言われている。
「元は人間だしね」
「そうなのよね」
「それが怨みと憎しみでね」 
 それでというのだ。
「もう何よりも怖い」
「そんな風になるのよね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「鬼より怖い」
「怨霊はそうなのよね」
「魔王にもなるし」
「そんなお話あるしね」
「京都だってね」
 この街もというのだ。
「元々はね」
「怨霊を避けたのよね」
「そうだったしね」
 早良親王の怨霊を恐れて何重にも結界を設けて造ったのだ。
「あそこも」
「怨霊っていうと」
「もうね」
 それこそというのだ。
「一番怖いよ」
「そうよね」
「悪魔よりもね」
「キリスト教のね」
「さらに怖いよ」
「別に悪魔って悪くないでしょ」
 一華は自分の考えを述べた。
「だって神様に反逆しただけで」
「もう一つの正義とも考えられるね」
「実際何で悪魔が悪いかっていうと」
 そう考えると、というのだ。
「神様に逆らうからって言う人いるしね」
「キリスト教徒の中にはね」
「これって神様が無条件で唯一の正義でないと」
「成り立たないよ」
 達川も言った。
「そうした話だよ」
「そうよね、だから悪魔でもね」
「そもそも元々他の宗教の神様だったりするし」
「悪いかっていうと」
「違うよ。神様に反逆しても」
 キリスト教のというのだ。
「元神様とか天使だし」
「それで正義感があったらね」
「全然悪くないよ、けれど怨霊は」
 そう言われる存在はというのだ。
「怨みや憎しみがとんでもなく大きくなって」
「世の中に禍を為すから」
「だからね」
 そうであるからだというのだ。
「もうね」
「怨霊の方がずっと怖いわ」
「悪魔よりも」
 こう一華に話した。
「そうだよ」
「その通りね、それにね」
「それに?」
「人間って悪意があって」
 一華はそれでと話した。
「それが物凄く醜いのよね」
「ああ、それが顔にも出るとね」
 達川は一華の言葉に頷いて応えた、彼にしても悪意の醜さはこれまで接したことがあって知っていることなのだ。 
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