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第百七十一話 家に帰ってその一
第百七十一話 家に帰って
一華は足元に違和感を感じた、すると足元から暗い方に一瞬だけ見えたスコティッシュフォールドの様な生きものを見て言った。
「猫?違うわね」
「猫?」
「さっき白と黒のね」
その模様のというのだ。
「スコティッシュフォールドみたいなのがいたけれど」
「それってね」
「すねこすりかしら」
「あの妖怪だね」
「この学園にもいるって聞いてたけれど」
その妖怪がというのだ。
「本当にいたのね」
「いたんだ、けれどね」
それでもとだ、達川は一緒に踊っている一華に話した。
「別にね」
「問題ないわね」
「すねこすりって足にまとわりつくだけでね」
「何かって思うだけの」
「そうした妖怪だからね」
「怖くないわね」
「そうだよ、妖怪さん本当にいたんだ」
達川はあらためて言った。
「いる思っていたけれど」
「私妖怪さんはじめて見たわ」
「僕は幽霊ならあるよ」
「そうなの」
「中二の時校舎でちらっと見たよ」
そうだったというのだ。
「学校帰りに下駄箱でね」
「あそこも出るってあったわね」
「そう、それで部活が終わって」
そうしてというのだ。
「クラスに用事があって戻って」
「それで下駄箱に行ったら」
「灰色の影が見えたんだ」
「そうだったの」
「それでそれがね」
まさにというのだ。
「幽霊だったんだよ」
「達ちゃんも見たのね」
達川をその綽名で呼んで頷いた。
「そうなのね」
「幽霊をね」
「私は幽霊は見ていなかったけれど」
「今妖怪さん見たね」
「ええ、それで見てもね」
この目でというのだ。
「別にね」
「どうってことないね」
「そうね、むしろ見てね」
そしてというのだ。
「よかったって思うわ」
「嬉しいんだ」
「ええ」
実際にといううのだ。
「いいもの見られたわ」
「そう思ったら何よりだね」
「ええ、けれど本当に足元にまとわりつかれただけで」
一華は笑って話した。
「別にね」
「何もないね」
「そうだったわ」
こう話した。
「本当にね」
「じゃあそれで終わりだね」
「妖怪さんに会っても何もされないなら」
それならというのだ。
「本当にね」
「問題なしだね」
「やっぱり妖怪さんよりも人間がね」
「問題だね」
「さっきの馬鹿はどうしようもないけれど」
そう言うしかない輩だがというのだ。
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