ハッピークローバー
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第百七十話 近付く終幕その十二
「ふと気付いたらね」
「妖怪さんね」
「そうかもね」
一華に笑って話した。
「若しかしたら」
「そうでも面白いわね」
「うん、そうだよね」
「今お隣にはかな恵と鳴海っちだけれど」
ちらりと見れば彼等だった、実に仲睦まじい感じだ。
「傍にね」
「いるかもね」
「そうよね」
「それがいいんだよね」
「妖怪さん達がいるかもって思うことが」
「何か楽しいよね」
「ええ、別にね」
一華はここでも微笑んで応えた。
「怖い存在じゃないから」
「妖怪さん達はね」
「そうだしね」
「悪いことしなかったら」
それならというのだ。
「それで悪いことする妖怪さんならね」
「最初からこうしたところにいないわ」
「だからね」
「安心していいし」
「むしろ楽しいよ」
「ええ、そういえば」
ここで一華はこんなことも言った。
「付喪神もいるのよね」
「その妖怪もだね」
「うちの学園に」
「そうたいだね、ものに手足が生えてね」
「お顔が出てね」
「動いたり喋ったりするらしいね」
「古いものがね」
そうしたものに命が宿ってだ。
「そうするのよね」
「出るらしいね、色々なものがね」
「古くなったらね」
「そうなってね」
それでというのだ。
「宴会もするらしいよ」
「その付喪神もここにいるのかしら」
「いるんじゃないかな、見えなくてもね」
「暗いしね」
「それでもいてね」
キャンプファイアーの場所にというのだ。
「踊ってるんじゃないかな」
「気付いていないけれど足元にもいて」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「踊ってるのかもね」
「踏まない様にしないとね」
「そうよね、けれどね」
「けれど?」
「妖怪さんならね」
一華は笑って話した。
「あちらからわかって」
「かわすかな」
「そうじゃないかしら」
こう言うのだった。
「踏んだって人聞かないし」
「そうだね」
達川も否定しなかった。
「言われてみると」
「そうよね」
「うん、けれどね」
それでもと一華に話した。
「妖怪さん達のことも頭に入れて」
「踊ることね」
「一緒にいるってね」
「幽霊の人達も」
「そうしていこうね」
「今はね」
「そしてね」
それにというのだった。
「楽しく踊ろうね」
「これが文化祭の最後だし」
「終わりよければだよね」
「全てよし」
一華はにこりと笑って応えた。
「そうだしね」
「楽しく踊ろう」
「二人でね」
一華はまたにこりと笑った、そうしてだった。
達川と二人で踊った、だがここで足元に何か違和感を感じてそのうえでこんなことを言ったのだった。
第百七十話 完
2025・2・15
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