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西遊記

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第三回 孫悟空武器を手に入れるのことその十一

「ちょっとどうでしょうか」
「宴か」
「折角来て頂きましたし」
 花果山にまでというのです。
「ですから」
「それでか」
「はい」
 まさにというのです。
「宴を」
「いや、それはいい」 
 金星は謙虚な笑顔で断りました。
「それは神界でな」
「今ではなく」
「私が席を用意するからな」
 金星の方からというのです。
「だからな」
「今はですか」
「止めておこう」
「それでは」
「それよりもな」
「神界にですな」
「行く為にな」
 その為にというのです。
「準備をせよ」
「それでは」
「そしてな」 
 金星はさらに言いました。
「わかっておると思うが礼儀はだ」
「守ることですな」
「万歳老の御前だ」
「拝謁しますので」
「砕けた態度ではな」
「駄目ですな」
「お主も師には礼儀を守ったな」
「無論です」
 悟空はすぐに答えました。
「流石に」
「その師以上にだ」
「万歳老に対しては」
「しかと守るのだ」
 礼儀をというのです。
「よいな」
「それでは」
「そしてな」 
 金星はさらに言いました。
「悪い様にはならぬからな」
「安心していいですか」
「そのことはな、別に処罰しようとはだ」
「万歳老もお考えではないですか」
「四海龍王とも十大冥王とも揉めなかったな」
「別に暴れる必要もなかったので」
 それでというのです。
「わしもです」
「暴れなかったか」
「そうしました」
「何時でも暴れる訳ではないな」
「確かに気が短いですが」
 悟空自身このことは認めます。
「ですがそれでもです」
「そうであるな、ならよい」
「左様ですか」
「そなたは必ず大きなことを為すぞ」
「只の石猿ではなく」
「左様、顔の相を見てもな」
 そうしてもというのです。
「よいしな、それに運命がじゃ」
「そうしたものですか」
「だから無闇に暴れずにな」
「身を慎むことですか」
「お主には難しいと思うが」
 しかしというのです。 
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