西遊記
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第三回 孫悟空武器を手に入れるのことその六
「わしはな」
「仙人になったがな」
「それでも死ぬか」
「不老は備えてもな」
「不死ではないか、では不死になるにはどうすればいいか」
「それなら十大冥王のところに行くのだ」
北海龍王が言ってきました。
「そして不死にしてくれる様に話すのだ」
「そうすればよいのか」
「無論並の者では聞けぬ話だが」
それでもというのです。
「仙人が言うとな」
「よいか」
「仙人は不老不死であるのが普通だからな」
「わしはもう仙人だしな」
「十大冥王に言うのだ」
「それではな」
「道を教える」
南海龍王はそちらのお話しました。
「ここから冥府に行く道をな」
「そうした道もあるのだな」
「左様、だからな」
「色々親切にしてくれるな」
「財宝を貰ったからな」
だからだというのです。
「これ位はする」
「そういうことか」
「左様、そういうことだ」
「さて、推薦状も書こう」
西海龍王はそちらのことをしました。
「ただ行って言うよりもよい」
「おお、一筆書いてくれるか」
「そうする、財宝を貰ったからな」
「鎧だの貰ってさらにとは太っ腹だな」
「龍王の主達ともなるとこれだけの器が必要だ」
それでというのだ。
「気にするでない」
「それではな、では十大冥王にも土産を持って行くか」
龍王達も気前がいいですが悟空もです、こうして推薦状を貰い道まで教えてもらってそうしてでした。
悟空は今度は冥界に行きました、そうして自分の前に横一列に座している冥王達に事情を説明しました。
「そういう理由でだ、わしの名前を点鬼簿から消してくれ」
「お主が仙人になったのは聞いていた」
「実はそろそろ寿命だった」
「お主の寿命は三四二年だったが」
「今年がその三四二年だった」
「何と、今年であったか」
悟空はそう聞いて目を丸くさせました。
「あと少しだったな」
「仙人は寿命の前に来るものだ」
「お主が何時来るかと思っていたが」
「あまりにも遅いと急かすところだった」
「早く来いよな」
「そうであったか、では早速名を消してもらおう」
早速と言う悟空でした。
「そうしてもらおう、あとわしの国の者達にも仙術を教えたのだ」
「そして仙人になっておるな」
「では猿や魔物達の名も消しておく」
「そうする」
「何かと悪いな、ではお礼にだ」
悟空は笑って言いました。
「金銀に財宝を渡そう」
「そんなものはよい」
ですがここで冥王の一柱が言いました。
「我等は既に多くの富を持っておるからな」
「だからか」
「それにそうしたものを貰っては裁判の目が曇るわ」
「死んだ者の功罪を裁くか」
「だからな」
そうであるからだというのです。
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