西遊記
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第三回 孫悟空武器を手に入れるのことその四
「わしにもわからん」
「しかしここにある武器はこれで全部だ、もっと言えば鎧兜も欲しい」
「宝玉や金銀の分は渡すがな」
「わしに合うものがない」
「ならです」
ここでお話を聞いた龍王のお后様が言ってきました、妙齢で青い豪華な服を着たとても奇麗な人です。
「神珍鉄はどうでしょうか」
「何だい、それは」
「天の川で見つかった武器でして何でもかつて万歳老が使っておられたとか」
「何と、天帝陛下がか」
「左様です、もう使われぬとのことですが」
「それで余が下賜して頂いたが」
龍王がまた言ってきました。
「試しに持ってみるか」
「ああ、何でも見て手にしてみることだ」
悟空は龍王に答えました。
「それならな」
「では宝物殿にあるからな」
「それをだな」
「持ってみよ、では案内する」
悟空に告げてでした。
龍王は悟空を今度はそちらに案内しました、そして多くの財宝の中からその神珍鉄を見せられました、それはです。
「長さ二丈、重さ一万三千五百斤だ」
「見事な鉄棒だな」
「これでよいか」
「うむ、持ってわしに合うならな」
悟空は笑って応えました。
「頂く」
「それではな、しかしだ」
それでもとです、龍王は上機嫌で応える悟空に言いました。
「重いぞ」
「一万三千五百斤だな」
「持てるのかそんなものが」
「持ってみせる」
是非にと言うのでした。
「言った通りな」
「そんな重いものが持てるのか」
「わしはな」
あくまで言う悟空でした。
「出来るぞ」
「そこまで言うなら持ってみよ、しかしもう他に武器はないからな」
龍王の宮殿にはというのだ。
「これで駄目ならだ」
「諦めることだ」
「他のところをあたれというのだな」
「そうせよ」
「それではな」
龍王に応えてでした。
悟空はその神珍鉄を手に取りました、するとです。
「丁度いいな」
「その重さでか」
「しかも鉄だがな」
「鉄は金だな」
「わしは火の気が強過ぎてな」
自分でこのことを言います。
「鉄、金はな」
「苦手か」
「うむ、しかしな」
それでもというのです。
「鉄の両端に金の箍が嵌っておってな」
「鉄の力は弱まっておる」
「これ位なら何でもない」
「そうか、ではか」
「これを振ってみるか」
試しにとです、こう言ってでした。
悟空はその鉄、鉄の棒を右手に持って振ってみました、龍王はその様子を見て仰天してそのうえで悟空に言いました。
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