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西遊記

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第三回 孫悟空武器を手に入れるのことその三

「多くの宝を持っていてな」
「武器もです」
「それでは少し東海龍王の宮殿に行って来る」
「東海の龍宮にですな」
「そしてな」
 そのうえでというのです。
「武器を貰ってくる」
「それでは」
「では決めたら動けだ」
 悟空は自分の信条も言いました。
「すぐに東海龍王のところに行って来る」
「そしてすぐにですな」
「帰って来る、皆の者留守の間は頼むぞ」
 こう言ってでした。
 悟空は筋斗雲を出してそれに乗るとすぐに東海龍王の宮殿である東海の龍宮に来ました、そしてその青い重厚な門を叩くとです。
 その音があまりにも大きくて、です。龍宮で龍王に仕えている者達は仰天しました。
「何だあの音は」
「宮殿の正門を叩いている音か」
「海の中のここまで来たのは誰だ」
「一体」
「これだけの音を出せるのは哪吒三太子か二郎真君か」  
 主の東海龍王は平然としています、そのうえで言いました。
「今噂の孫悟空か」
「あの石から生まれた猿ですか」
「万歳老や釈尊が話しておられる」
「あの猿ですか」
「おそらくな、しかしこの水晶宮に来るとはどういうつもりだ」
 青い宝玉や木や絹で飾られた宮殿の中で言います。
「一体、だがまずは会おう」
「はい、それでは」
「龍王の御前に呼びます」
「そうします」
「ここに連れて参れ」
 周りの者にこう告げてです、龍王は悟空を宮殿に入れさせ玉座に座る自分の前に案内させました、そのうえで自分の前に来た悟空に尋ねました。
「何用で参った」
「ああ、武器が欲しくてな」 
 悟空は龍王にいつもの調子で答えました。
「参上したんだ」
「武器とな」
「わしの国は今いざという時に備えて武器や鎧兜を用意しておる」
「備えあればだな」
「それでな、しかし王のわしは武器を持っていない」
 このことも言うのでした。
「だからな」
「余の宮殿に来てか」
「何かあったらくれ、礼はする」
 こう言って鉄を掘り出す時に一緒に掘り当てた多くの金銀と宝玉の中の幾分かを差し出しましたのでした。
「これでよいか」
「これは多いな、いいだろう」
 龍王もその礼を受け取りました。
「それではな」
「武器をくれるか」
「好きなものを選べ」
 龍は宝玉や金銀が好きです、それを受け取った龍王は喜んで言いました。
「何でもな」
「では選ばさせてもらう」
 悟空は胸を張って応えました、そうしてです。
 宮殿の武器庫に案内されて一つ一つ見てみました、ですが。
「どれもしっくりこんな」
「どれも龍王の武器だぞ」
「よいのはわかるがな」
 共にいる龍王に言います。
「しかしだ」
「お主には合わぬか」
「どれも軽い」
 持って振って突いて言うのでした。
「これでは駄目だ」
「ではどういった武器がいいのだ」
「さて、どれがいいか」
 悟空は腕を組んで考え込んでしまいました。 
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