夢幻水滸伝
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第三百九十二話 南米の三国その七
「軍用、前線では使ってへんわ」
「防りに問題があるので」
「そう、上の袋の部分ね」
まさにその部分だというのだ。
「あそこを攻められるとね」
「危ういですね」
「袋の部分は只の布やビニールだしね」
「攻撃されたら即座に終わりですね」
「そう、しかも的が大きいわ」
ただ弱いだけでなくだ。
「そやからこうした勢力では使ってへんわ」
「前線では、ですね」
ニキータも言ってきた。
「そうですね」
「軍用で用いていてもね」
「輸送や移動等に用いて」
「前線ではよ」
「使ってへんですね」
「それも正しいわ」
アレンカールは中国や南洋のその方針を否定していなかった、むしろそれも一つのやり方だと肯定して話している。
「あれだけ守りに問題があるとね」
「前線で使うには躊躇しますね」
「しかも遅いわ」
速度の話もした。
「そやからね」
「攻撃されやすいですね」
「そやからね」
だからだというのだ。
「使わへん勢力も多いわ、そやけどね」
「アレンカールさんとしては」
「敢えてよ」
確かな声で話した。
「使いたいわ」
「そうですか」
「ええ、ほなね」
それならというのだ。
「アルゼンチンとの戦からはね」
「飛行船を大々的に用いますね」
「そうするわ、そして」
そのうえでというのだ。
「空からも攻めていくわよ」
「それでは」
「それで凄いのは」
イザベルが言ってきた。
「鉄道ですね」
「いいわよね、鉄道」
アレンカールもにんまりとして応えた。
「多くの人やものを迅速に運べるから」
「有り難いです」
「そのことを考えてよ」
「勢力圏で敷ける場所には敷きましたね」
「そうしたけれど」
「戦でも便利ですね」
「モルトケの言った通りよ」
プロイセン陸軍参謀総長だった人物だ、ドイツ統一に多大な貢献をした人物として歴史に名を残している。
「ほんまにね」
「鉄道は素晴らしいです」
「馬を用いるよりずっとよ」
「多くの人やものを運べます」
「そやからね」
だからだというのだ。
「産業の発展にも使ってきて」
「軍事でもですね」
「使わせてもらってるけれど」
「有り難いですね」
「多額の予算をかけて整備したかいがあったわ」
笑って話した。
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