新オズのブリキの樵
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第十幕その四
「一体」
「春先や秋は寒くて夏は暑い」
トモキも言いました。
「しかも交通の便が悪いなんて」
「そうした球場はビジターでも困りますし」
アズキはチームの人達の立場になって考えました。
「本拠地だと活躍しにくいですね」
「実際にそうなんですよ」
「その九条いつも言われてます」
「春先や秋の終わりは寒くて」
「夏は暑い」
「虫も沢山入ってくるって」
「明らかなミスだね」
樵はここまで聞いて思いました。
「設計の」
「そうですよね」
「密封式にしたらよかったですね」
「そうしたらよかったですね」
「問題なかったですね」
「アクセス以外は」
「全くだね、けれどこの球場は違うから」
樵は五人にお話しました。
「安心してね」
「ちゃんと密封式ですね」
「そうなっていますね」
「これなら大丈夫ですね」
「雪も虫も入らない」
「気温も快適ですね」
「外の世界でもね」
そうだというのです。
「だから安心してね」
「本当にその球場色々言われています」
ジョージがお話しました。
「何かと」
「そうなんだね」
「はい、お世辞にもです」
「評判はよくないね」
「そうなんです」
「本当によくそんな球場作ったね」
樵も首を傾げさせることでした。
「不思議だよ」
「最初は屋外の球場で」
「ああ、そこに屋根を付けたんだね」
「改修して」
「それで隙間が空いているんだ」
「密封にしなくて」
「そうなんだね、お金の問題かな」
樵は今度はこう考えました。
「外の世界ではとても大事なことだね」
「はい、お金がないとです」
ジョージはそれこそと答えました。
「もう何もです」
「出来ないね」
「それ位です」
「だったらかな」
「お金がなくて」
「予算がね」
それがというのです。
「そのせいでね」
「屋根を付けても」
「密封式に出来なくて」
そうであってというのです。
「そうなったのかな」
「だからですか」
「そう思ったよ」
樵としてはです。
「実際のところはわからないけれどね」
「それでもですね」
「そうじゃないかなってね」
「有り得るわね」
ドロシーもその可能性を否定しませんでした。
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