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西遊記

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第二回 孫悟空混世魔王を倒すのことその十一

「何があってもな」
「仙人として」
「そうする、お主だけでなくな」
「殺生はしないでそのうえで」
「やっていくぞ」
「それでは」 
 魔王もここまで聞いて頷きました、そしてです。
 そうしたお話をしてです、魔王はあらためてお酒を飲みました、そのうえで精進酒を飲んでいる悟空に言いました。
「それで大王はどういったお酒がお好きですか」
「酒と言っても色々だな」
「麦の酒もあれば」
「米に稗に粟にな」
「あと葡萄でもです」
 この果物でもというのです。
「造れます、桃や林檎からもです」
「造れるな、それで好きな酒はか」
「何でしょうか」
「何でも飲む」
 魔王に笑って答えました。
「酒はな」
「何でもですか」
「どの酒も好きだ、しかしな」  
 悟空はそれでもとお話しました。
「精進酒だ」
「お酒はお酒でも」
「今もそれを飲んでおるしな」
 言いつつ飲みます。
「今は林檎の酒だが」
「それもよしですな」
「実にな」
「では今度です」
 魔王はそれならとお話しました。
「葡萄の酒をです」
「精進酒でだな」
「如何でしょうか」
「いいな、赤と白があるが」
「どちらにされますか」
「白にしてな」
 そうしてというのです。
「そして肴はな」
「何にされますか」
「醍醐や蘇を出してな」
「おお、いいですな」
 魔王はそうした食べものの名を聞いて笑顔になりました。
「白い葡萄酒にです」
「ああしたものは合うな」
「酪も」
「乳の食いものもな」
「よいですな」
「生臭は慎むがああしたものは食える」
 そうだというのです。
「仙人もな」
「そうなのですね」
「だからな」
「今度ですな」
「白い葡萄酒を出してな」
 そうしてというのです。
「食うか」
「蘇や酪を」
「酪はあれだ」
 こうもです、悟空は言いました。
「飲んで食った後にな」
「楽しまれますか」
「あれは甘くして食いたいな」
「ああ、酪はどろりとしていて」
「飲むだろ」
「はい、飲むならです」 
 魔王も応えました。 
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