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西遊記

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第二回 孫悟空混世魔王を倒すのことその十

「実に」
「しかしあれ以上殴るとな」
「私は死んでいました」
「そうであったな」
「非常に強い一撃だったので」
「お主を倒してだ」
「それでよしとお考えでしたか」
「左様」
「最初から私を殺すつもりはなかったのですね」
「全くな」
 それこそというのです。
「そうであった」
「まさか殺生は」
「わしは仙人だぞ」  
 悟空は真顔で答えました。
「仙人は殺生は駄目だな」
「はい、それは」
「食べるにしてもあまり生臭ものはな」
「よくないですな」
「御仏と同じくな」 
 そうであってというのです。
「仙人もだ」
「殺生に生臭ものは禁物で」
「酒もだ」
 今飲んでいるそれもというのです、山菜や茸を肴に実に美味しそうにどんどんと飲んで楽しんでいます。
「こちらもな」
「精進酒ですな」
「そうだしな」
「お酒を飲まれても」
「そうであってな」 
 それでというのです。
「殺生は特にだ」
「禁物ですな」
「厳禁だ」
 こう言っていいまでだというのです。
「それでお主もだ」
「殺しませんでしたか」
「うむ」
 そうだというのです。
「敢えてな」
「そうなのですか」
「それに元々わしは花果山の霊力を受けて生まれた石猿」
 普通の猿ではなくというのです。
「最初から仙人に近いものがあった」
「それで尚更ですか」
「殺生はせぬ、嫌いであるしな」
「殺生が」
「鷲は飲んで食って遊ぶのは好きだ」
 こうしたことはというのです。
「悪戯も歌も踊りもな」
「そうしたことも」
「しかし殺生はだ」
 それはというのです。
「元々嫌いでな」
「私も殺さなかったですか」
「これまでも出来る限りそうしてきた」
「そして仙人となられた今は」
「尚更な」
 それこそというのです。
「せぬ」
「それで私もで」
「そしてだ」 
 それにというのです。
「これからは誰もな」
「殺生をされないですか」
「うむ」 
 そうだというのです。 
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