西遊記
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第二回 孫悟空混世魔王を倒すのことその九
「お茶を飲むことです」
「お茶を飲むと目が覚めますね」
「そうなりますね」
「しかも味もよく」
「素晴らしいものです」
御仏達は釈尊がお茶のお話をされると口々に言われ頷かれました、そのうえでそれぞれ言われました。
「お水を沸かしてお茶の葉を入れますと」
「刻んだり粉にしまして」
「まことによく目が覚めます」
「そして美味しいです」
「ですから修行の時はです」
釈尊は微笑んで言われました。
「お茶を飲むといいのです」
「左様ですね」
「霊的な存在でない時は」
「まだ身体がある時は」
「そうすべきですね」
「そうです、お茶はまことにいいものです」
釈尊はまた言われました。
「ですからやがて修行する下界の人達にもです」
「お伝えされますね」
「そうされますね」
「そうします」
こう言われるのでした。
「しかもお茶は身体にもいいですから」
「そうなのですよね」
「実に」
「これが」
「ですから」
それでというのです。
「下界ではやがて誰もが飲める様にです」
「伝えられますね」
「広く」
「そうされますね」
「そうします」
まさにというのです。
「必ず、そしてあらためて金蝉子仏にお話しますが」
「はい」
「やがてです」
「人界に生まれ変わるのですね」
「そうされて下さい」
「それでは」
「運命が動いています」
釈尊はここでも微笑んで言われました。
「大きなことを為す為の」
「そしてその中にですね」
「金蝉子仏もおられます、では」
「その時が来れば」
「お願いします」
こうしたお話をしてでした。
釈尊も他の御仏の方々も座禅に入られました、そしてご自身達のお力をさらに強めていかれるのでした。
その頃悟空は混世魔王と共に水蓮洞の中でお酒を飲んでいました、そこで向かい合って卓を囲む魔王に言われました。
「一つお聞きしたいのですが」
「何だ?」
「大王は私を殺せましたね」
お酒を飲みながら尋ねました。
「あの時に」
「勝負の時だな」
「私を一撃で倒したので」
拳のそれでというのです。
「それこそ」
「うむ」
悟空は否定せずに答えました。
「あれは渾身の一撃だったがな」
「全力の」
「あれでお主は倒れたな」
「強烈でした」
魔王は笑って答えました。
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