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スーパーヒーロー戦記

作者:sibugaki
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第23話 紅い稲妻!空飛ぶマジンガーZ

 本郷達がショッカーの恐るべき計画を阻止していたその頃、兜甲児とゲッターチームは光子力研究所にたどり着いていた。

「待ってたよ甲児君」
「こっちもですよ。いよいよマジンガーが空を飛ぶ日が来たんですねぇ」

 とても嬉しそうに甲児が言う。この日をどれ程待ち望んでいた事か。遂にマジンガーZが空を飛ぶ日が来た。それが今日この日なのだ。

「それで弓教授。何時頃マジンガーを飛ばすんです?」
「そう慌てる事はないよ甲児君。まずはゲッターチームの皆とシュミレーションをしてそれから実践に踏み込んで貰うつもりだ」
「へ? シュミレーション!? そんなの要りませんよ。俺はぶっつけ本番で構いませんって」

 自信満々に言う甲児だが、その甲児の肩を竜馬が掴んで止めた。

「甲児君、此処は弓教授の言う通りにすべきだ。君だってマジンガーを地べたに激突させたくないだろう?」
「う~ん、リョウ君が言うんならそうしておくか。でも教授、なるだけ早くやって下さいね」
「ハハハ、分かったよ」

 そう言い残して甲児とゲッターチームは部屋を出て行った。残ったのは弓教授だけであった。

「弓教授」
「おぉ、ドロシーさん」

 部屋を訪ねてきたのはドロシー・アンダーソンであった。今回のマジンガー飛行計画には絶対に必要な重要人物である。

「マジンガーZ用の翼が完成致しましたわ」
「そうですか、となると次はいよいよマジンガーZの強化に移らないといけませんな」
「及ばずながら、私もお手伝い致しますわ」
「何から何まで有難う御座います」

 弓教授は頭を下げた。彼女が居なかったら此処まで早く事を出来なかったからだ。

「いえ、私よりもこちらにいらっしゃる三博士のお力が大きいですわ」
「三博士!」

 其処にはそれぞれ特徴のある三人の博士が居た。
 髭を蓄えたせわし博士。微妙に曲がった楕円形の目がねをかけたのっそり博士。丸く肥えているもりもり博士。
 研究所になくてはならない三博士とは彼等の事である。

「弓教授。マジンガーZ強化プランは既に出来上がってますじゃ」
「後は弓教授の許可が下り次第早速取り掛かりたいと思ってますじゃ」
「うむ、では宜しくお願いします」
「あい分かった!」

 許可を得た三博士とドロシーは早速マジンガーの強化に向かった。再び部屋には弓教授一人残される結果となった。

「甲児君。実は君に隠していた事がまだあるんだ。だが、それを言うのは少し後にしよう。きっと君も驚く事だ」

 そう言って弓教授が見ていたモニターには2体のロボットの姿があった。




     ***




 その頃、マジンガー強化計画の事は此処バードス島にも知れ渡っていた。それを知ったDr.ヘルは大層焦ったといわれている。

「何じゃと! マジンガーZが空を飛ぶ!? そんな事があってはならん!」
「では、いかが致しましょう?」
「聞くまでもあるまい! ブロッケン伯爵、すぐに飛行型機械獣軍団を引き連れて光子力研究所を破壊せよ! マジンガーを空へ飛ばしてはならん!」
「ははっ、必ずやマジンガーZの翼と光子力研究所を破壊してみせます」

 一礼した後、ブロッケン伯爵は去って行った。Dr.ヘルの顔には焦りの色が浮かんでいた。

(おのれ弓弦之助め、まさかこうも早くマジンガーを空へ飛ばすとは…これでは秘密裏に作った飛行型機械獣の意味がなくなってしまう)

 Dr.ヘルはあの時飛行型機械獣を出撃させた事を後悔していた。それは、かつて高町なのはを誘拐した際にそれを奪い返された時ブロッケン伯爵が連れて行ってしまった時だ。
 あの時どうにかしてなのはは仲間達の元へ戻り、そして飛行型機械獣の事を知らせたのだろう。全くの誤算であった。

「おのれぇ、ワシの夢をそう簡単に手放してなるものか…世界を征服する事こそこのDr.ヘルの長年の夢なのじゃ」
「フフフ…」
「!!!」

 何処からともなく笑い声が響いてきた。だが、その姿は何処にも見当たらない。辺りを見回しながらDr.ヘルは笑い声の主を探した。

「何者じゃ! 姿を現せい!」
「これは失礼、すぐに姿を現そう」

 声の主が現れた。上半身は古代ローマの戦士を思わせる井出達をしているものの、下半身はそれこそ虎そのものの化け物であった。

「お主は一体何者じゃ?」
「ワシの名はゴーゴン大公。Dr.ヘル、お主がマジンガーZとやらに苦戦しておるのを見て手伝ってやろうとはせ参じたのじゃ」
「何ぃ? 要らぬ世話じゃ! 貴様の様な何処の馬の骨とも分からん奴の力など借りん!」
「ふん、まぁ良い。気が変わった時にまた来よう」

 そう言い残し、霧の様に姿を消してしまった。この時、Dr.ヘルは戦慄を覚えていた。あの化け物を見た際に背筋が凍る思いがしたのだ。そんなのは初めてであった。あの化け物は一体何者なのか? あの化け物は本当に自分にとって利益のある存在となりえるのだろうか? 疑問は尽きなかった。




     ***




 操縦席の中で甲児は一人項垂れていた。彼の目の前にあるモニターにはデカデカと「訓練失敗」と書かれていた。その事実が甲児を打ちのめしたのである。

「これで15回目の失敗かぁ…」

 そう呟き、甲児は再び盛大な溜息を吐いた。あの後、意気揚々とシュミレーションルームに入ったは良いが結果はこれであった。
 最初の内は何かの間違いだと思いリトライするが結果は同じ。その後も何度も何度も挑戦するも最終的に結果は変わらず仕舞いであった。

「おい、甲児さんよぉ…遊びでやってんなら止めてくんなぁ。こちとら時間が無限にあるって訳じゃねぇんだからよぉ」

 外で言ってる隼人の野次が痛かった。あれだけ自信満々な啖呵を切ってきたのにこれでは合わせる顔がない。こんな所でくじけてる場合じゃないのだ。

「なんのなんの、も一回だ!」

 仕切りなおしにと自分に言い聞かせ、操縦桿を握り締めてまた元も画面に戻る。それはZの操縦席を元にしたシュミレーションだった。
 シュミレーション内容はマジンガーZを飛ばす翼とのドッキングである。これが成功すればマジンガーZは空を飛べるのだ。
 …しかし、

「あ!」

 声を発し思わずハンドルを切った。またしてもタイミングがずれてしまったのだ。今度は遅かったのか翼とZが正面衝突してしまい二機が激しく爆発。
 再び「訓練失敗」の文字が現れる結果となった。
 外から聞こえてくるゲッターチームの野次が甲児の心を更に痛めつけた。かなり難しい。この訓練は物凄く難しい。甲児はそう思えていた。
 今まで空を悠々と飛んでいる者達を見てきた為、案外簡単だとばかりに思っていたが、いざやってみるとこれが中々難しい。
 実は、一度だけドッキングには成功したのだが、その後の操縦ミスで地面に激突してしまい機体を大破させているのだ。これでは成功とは呼べない。

「甲児君、一旦休憩しよう」

 竜馬の声が聞こえてきた。時計を見ると既に3時間は続けていた事になる。確かに集中力が切れて当然だ。シュミレーションマシーンから降りた甲児は一息つく為に簡素な椅子の上に腰を下ろす。其処へゲッターチームの面々が集まってくる。
 恐らく、野次を飛ばす為だろう。

「何やってんだよ甲児。そんなんじゃ一生マジンガーは空飛ばねぇぞぉ」
「わぁってるよ、んなこたぁよぉ!」

 若干苛立ちながら甲児は答える。そんな事今更言われるまでもない事だ。これに成功しなければマジンガーは一生地べたを這い回るだけに終わってしまう。そんなのは嫌だ! 絶対にマジンガーを空へ飛ばしたい。
 それは甲児の夢でもあるしこれからの戦いに必要な事だったのだ。

「うっし、休憩も取れたし今度こそ成功させてやるぜ!」
「待て、今やったところで結果は見えてる。時間の無駄だ」
「なにおう!」

 いきなり隼人が止めてそんな事を言い出す者だから甲児もムッとなった。そして隼人をキツイ目で睨むものの隼人自身は全く動じてない。それどころか涼しい顔をして甲児を見ていた。

「良いか甲児、今のままシュミレーションを続けた所でお前さんはそれをシュミレーションと思って舐めて掛かる。それじゃ結果は同じだ。だったらいっその事実戦でやってみたらどうだ? その方が緊張感が増すだろう」
「おい、隼人!」

 竜馬が止めようとしたがそれを隼人が止めた。彼の顔は真剣そのものであった。決して遊び半分で言ってる訳ではないのだ。

「俺達にはまだやるべき事が多く残ってるんだ。こんなところで油を売ってる訳にはいかねぇ。それ位お前でも分かりきってることだろう?」
「あぁ、分かってる」
「だったら分かってる筈だ。どうする?」
「勿論やってやるぜ!」

 甲児は隼人の挑戦を受ける事を決めた。此処でいたずらに時間を浪費しても結果は見えてる。ならば少しでも可能性のある事をするべきだ。
 そうと決まれば早速甲児は格納庫に急いだ。パイルダーに乗り大空へと飛び立ちマジンガーとドッキングを果たした。

「甲児君、マジンガーに乗って一体何をするつもりだ?」
「これからマジンガーZと翼のドッキングをするんですよ!」
「何! そんな無茶な!」

 通信を送ってきた弓教授は驚愕した。そんな事をしてもし失敗でもしたら人類はマジンガーZと言う存在を失う事となってしまう。それだけは避けたかったのだ。しかし、言った所で聞く人間ではない事は弓教授が一番良く知っている。
 そして今度は三機のゲットマシンが飛び立った。

「聞こえるか甲児。今から俺達をマジンガーの翼と見立ててジャンプしろ! その間に研究所の方に翼の発進をスタンバイさせる」
「おう! やってやるぜ! そんな訳なんで弓教授、翼の準備をお願いします」
「止むを得んか。だが、これに失敗したらもうマジンガーは二度と空を飛べなくなる。それを心得て置くんだよ!」
「分かってますよ! それじゃ行くぜ!」

 早速特訓が開始された。マジンガーの巨体が大空へジャンプする。狙いはイーグル号だ。しかしタイミングが早すぎたのかイーグル号はZの後ろに居た。

「タイミングが早すぎるぞ甲児君!」
「んなろぉ! も一回だ!」

 再びジャンプする。今度はジャガー号に狙いを定める。今度は遅すぎた。Zの前にジャガー号が飛んでいる。

「今度は早すぎだ! タイミングを掴め!」
「今ので掴んださ! 今度は外さねぇ!」

 三度目のジャンプをする。今度はベアー号だった。今度はタイミングバッチリだった。見事にベアー号にZの背中が合さる。

「やったじゃねぇか甲児!」
「へへ~、これで何時でも合体可能だぜ! 弓教授、そろそろマジンガーZの翼を下さい!」
「待ってくれ甲児君。レーダーに反応があった。恐らくZの強化計画を聞きつけた機械獣だろう。それに発射にはまだ少し時間が掛かる」
「なぁんだ、今更機械獣なんざ目じゃねぇや! 叩きのめしてやらぁ!」

 腕を鳴らしながら甲児は言い放つ。だが、弓教授の予想は大きく外れ、現れたのは初めて見る敵であった。

「ほぉう、あれが噂のマジンガーZって奴かい? あたしゃてっきりブリキの玩具かと思ったよ」
「全くその通りでさぁディオンドラの姉御ぉ! 姉御にとっちゃぁあんな奴なんざ玩具も同然でさぁ!」
「姉御って言うんじゃない! ディオンドラ様って言えって何度言ったら分かるんだいお前はぁ!」

 甲児は眉をひくつかせた。隣で巨大な女に怒られてる変なロボットには見覚えがある。

「あぁ! てめぇは御殿山の科学センターで俺達にぶちのめされた漫才ロボット!」
「誰が漫才ロボットやねん! ワイの名前はデビルサターン6っちゅう立派な名前があるんやでぇ!」
「どっちでも良いわい! それより俺達の前に出た以上またぶちのめされに来たって事だろうが!」
「ハン、いきがってんじゃないよ坊や。デビルサターンを破ったからってこのあたしを同じ様に倒せると思ったら大間違いだよ」

 ズズイと先ほどの女性が前に出てきた。思わず甲児は身構えた。始めてみる敵だ。一体何者なんだ? どんな力を持っているんだ?
 様々な疑問が甲児の中を駆け巡っていた。

「さぁお前たち! こんなガラクタさっさと片付けてお宝を回収するんだよ!」
「ガデッサー!」
「けっ、何勝手な事言ってやがる! そう簡単にこのマジンガーZを倒せると思ってんじゃねぇやこの年増!」
「言ってくれるじゃないか糞ガキ! あたしに其処まで大口叩いた以上只じゃ済まないよ!」

 怒りに燃えるディオンドラを筆頭にギャンドラーの面々が襲い掛かって来た。

「甲児君! 俺達も戦うぞ!」

 其処へ上空で合体したゲッター1が援護をしてくれた。上空からトマホークを投げつけ、ビームを放つ。それを食らい敵の幾つかが倒される。

「はん、そんな物に当たるディオンドラ様じゃないよ! これでもくらいな!」

 腰に挿してある西洋風の剣を取り出す。剣からは紅く禍々しいオーラが漂ってきているのが見える。その剣の切っ先をゲッターに向けると、紅いオーラが弾丸の如くゲッターに襲い掛かって来たのだ。

「おわっ!」

 1発目はどうにかかわした。しかし、その直後背を向けた為に2発目を背中に受けてしまう。

「しまった! ウィングがやられた!」

 ゲッターの飛行能力の要とも言えるゲッターウィングが先の一撃により破られてしまった。こうなってはゲッターは空が飛べない。
 真っ逆さまに地面に落下してしまうゲッター。

「大丈夫か? リョウ君!」
「あぁ、だが今のでウィングと変形機構をやられた。これじゃチェンジも出来ない!」
「ハハハッ、見たか! 妖剣メドゥーサの切れ味! 今度はその機体を真っ二つにしてやるよ」
「うっせぇや! そう簡単に俺達が倒されると思ってんじゃねぇぞ!」

 ゲッターを守る為に前に出るマジンガーZ。その時、研究所の方から何かが出てくる音がした。振り返ると其処には2体のロボットが現れてきたのだ。
 一体はアフロダイに似た女性型ロボットであり、もう一体は何処か間抜け顔のロボットであった。

「な、何だあいつらは?」
「甲児君! 私達も一緒に戦うわ!」
「此処はこのボスボロット様に任せろってんだい!」

 聞き覚えのある声であった。一人は弓教授の娘のさやか。そしてもう一人は甲児と同じ学校に通っているボスとか言う学生であった。

「さ、さやかさんにボス! 何だいそのロボットは?」
「アフロダイAを戦闘用に改造したダイアナンAよ! これで私も戦闘に参加出来る様になったわ!」
「そしてこいつは俺様専用マシンのボスボロットよぉ!」
「そ、そうか…ありがたいぜ! サポート頼むぜ!」

 援護とは何よりも嬉しい事であった。これで多少は数を補う事が出来る。回りに散らばったギャンドラーのコマンダー達をダイアナンとボロットが倒していく。その間、マジンガーZはデビルサターン6の相手をしていた。隣ではゲッターがディオンドラと戦っている。

「いい加減諦めて帰れよ漫才野郎! てめぇの寒いギャグじゃ座布団1枚もこねぇぞ!」
「だぁほ! ワイの繊細なギャグはお前等みたいな田舎もんには分からんのや! わいの星じゃ毎回ギャグ言う度に座布団の山やでぇ!」
「へぇ、それじゃお前の星のギャグはよっぽど寒いんだろうな。今度見るときはホッカイロ必須だぜ!」
「じゃかぁしぃわい!」

 忽ち殴り合いになった。何ともアホらしい言い会いではあったがそれでもパワーは互角のようだ。
 その隣ではゲッターが両手にトマホークを持ちディオンドラの妖剣メドゥーサと対峙していた。

「ハハハッ、どうしたどうしたぁ? 噂のゲッターロボの力はこんなもんなのかいぃ?」
「舐めるな! 俺達三人の力を合わせればお前達悪党に負ける筈がない!」

 言葉と共に激しい打ち合いが展開していた。剣の腕を持つ竜馬でさえ目の前のディオンドラには苦戦を強いられていた。その上今のゲッターは飛行能力も変形機構も破壊されているのだ。
 そんな時だった。遥か上空から激しい爆撃が襲い掛かって来た。

「な、何だぁ!」
「ぐわっはっはっ! どうやらまだマジンガーは空を飛んでいないようだな! これは好都合! この飛行型機械獣軍団の前に露と消えるが良いわ、マジンガーZ!」

 其処に居たのは飛行要塞グールとその上で笑うブロッケン。更には大空を埋め尽くす程の飛行型機械獣軍団の姿であった。
 その全ての機械獣軍団から激しい爆撃が襲い掛かって来た。これでは攻撃している隙がない。

「何やよう分からんけどこれはチャンスや! 今の内にあの研究所ぶっ壊してお宝ガッポリいただきやでぇ!」
「その通りだよデビルサターン! 美味しい所だけいただくのが悪の常識って奴だからねぇ」

 そう言って一斉に研究所へと向っていくギャンドラー達。迎撃しようにも爆撃が邪魔して思うように進めない。

「ガハハ、諦めるんやなぁ小僧! わいらの星じゃ「悪は最後に勝つ」って格言があるんや!」
「ざけんじゃねぇ! 生憎俺様は諦めが悪いんだ! そう簡単に諦めてたまるかよぉ!」
「その通りだ。俺達は諦めない! 例えこの命尽きるとも、お前達悪党に屈しはしない!」
「だったら其処でくたばってな! そう毎度毎度奇跡が起こる筈ないんだからねぇ!」

 ディオンドラの高笑いが響く。だが、


”待てぇい!”


天を裂く程の怒声が響き渡った。一瞬場の空気が静まった。

「な、何や!」
「この声…ちっ、毎度毎度良い所でぇ!」

 声の主を思い出しディオンドラは舌打ちした。その間にも声は続いてきた。

【何度打ちのめされようとも、心に闘志有る限り何度でも立ち上がる。正義の心有る限り敗北の文字はない! …人それを【不屈】と言う】

「この語り…もしかして!」

 パッと甲児の顔が明るくなった。この前口上は前にも聞いた事がある。そう、そしてその前口上を言う人物は味方であるとも知っていた。

「ロムさんか?」
「手を貸すぞ! 甲児君」

 遥か上空、光子力研究所の上にロム・ストールは立っていた。馬鹿と何とかは高いところが好きと言う格言があるがこの際それは無視しておこう。

「またお前かいロム・ストール!」
「その通りだ! 貴様等の悪行を許す訳にはいかん! ケンリュウ!!」

 ロムが天空に剣を掲げ、一筋の雷光を浴びる。その姿はみるみる内に青いロボットへと変貌した。

「闇ある所光あり! 悪ある所正義あり! 天空よりの使者ケンリュウ、参上!」
「ほざけ! これだけの数をたった一人で相手しようってのかい? 今日がお前の年貢の納め時だよ!」
「一人とは心外だなぁ」
「おいら達も居るんだけどなぁ!」

 今度は左右から声がした。すると回りに展開していたコマンダー達が次々となぎ倒されていくのだ。

「ジェット族最速の男、その名もブルージェット! 此処に推参!」
「そしておいらはドリル族一の怪力のロッドドリル様なんだなぁ!」

 其処に居たのはジェット型のロボットとドリル型のロボットの二体であった。その二体が次々とコマンダーを蹴散らしているのだ。

「君は、あの時の!」
「また会ったな紅いロボット。今回も手を貸してやるぞ」

 どうやらブルージェットとゲッターロボは面識があるようだ。どうやらギャンドラーは彼等に任せても大丈夫なようだ。残る問題は上空に居る機械獣だった。

「甲児君、聞こえるか! 今ジェットススクランダーの発射準備が整った。ぶっつけ本番でやるが大丈夫かい?」
「待ってましたよ教授! 早く出してください! 一発で成功させてみせますよ!」

 切り立った崖の上、其処からそれは現れた。真紅の羽を持つ雄雄しき翼。それこそが紅い稲妻ジェットスクランダーであった。

「ジェットスクランダー、発射!」
「行くぜ! これが本番だ」

 飛び立ったジェットスクランダーに合わせてZが走る。大地を踏みしめて全力疾走したのだ。
 計器を見計らってタイミングを計る。一発勝負だ。しくじれば次はない。

「今だ!」

 Zの巨体が上空にジャンプした。Zのボディと真紅の翼が上空で十字にクロスする。
 これこそマジンガーが大空へと飛び立つサイン【スクランダークロス】であった。

「やった! 成功だ!」
「何! マジンガーが空を飛んでるだとぉ!」

 ブロッケンは驚愕した。何とあのマジンガーZが大空を飛び回っているのだから。

「やい機械獣ども! さっきはよくもやってくれたなぁ! 百倍返しだ! くらいやがれ!」

 今までの鬱憤を晴らすかの如く飛行型機械獣軍団に向っていったマジンガーZ。その強さは圧倒的であった。向い来る機械獣を木の葉の様に蹴散らしていく様は正に圧倒的。言うなれば正しくマジンガー無双であった。
 その光景を目の当たりにしたブロッケンは生きた心地がしなかったと言う。

「恐ろしい、あのマジンガーが遂に大空を征服したと言うのか…ええい! 一度Dr.ヘル様にご報告だ! 撤退せよ!」

 直ちに向きを変えて逃げ去って行くグール。それを見ていた甲児は勝利の優越感に浸っていた。
 見たか機械獣! 見たか悪党共! お爺ちゃんの作ったマジンガーZは無敵だ! 甲児の中でそう思える瞬間でもあった。
 その一方で、地上の方でも闘いは方が付き始めていた。コマンダーを殆ど失い戦力を無くしたディオンドラ達の旗色が悪くなりだしたのだ。

「えぇい! 癪だが此処は引き下がるよ!」
「覚えとれやぁ! 次は必ず悪が勝つってのを実現してやるからなぁ!」

御馴染みの捨て台詞を吐いてギャンドラー達もまた引き下がって行った。完全な勝利であった。

「へっ、一昨日きやがれってんだ!」
「なんとか無事に切り抜けられたな」

 ホッとする研究所一同。かくして、無事に光子力研究所と光子力エネルギーは守られたのであった。

「またあんた達に助けられたな」
「正義の心有る限り、俺達は何時でも助けに来ます。それでは」

 その言葉を最後にロム達もまた姿を消してしまった。

「まるで疾風の様な男だったな」
「あぁ、だがきっとまた会えるさ。それより俺達はアースラに帰還するとしよう。ゲッターの修理もしないといけないし」
「あぁ、悪いけどアースラへはリョウ君達だけで帰ってくれ。俺は一足先に海鳴市に行ってくるぜ」

 そう言って大空へと飛び立ったマジンガー。

「こ、甲児君!」
「へへっ、空飛ぶマジンガーを見たらなのはの奴ビックリするだろうなぁ。待ってろよぉ! 今度肝を抜かしてやっからよぉ」

 意地悪な笑みを浮かべながら甲児とマジンガーZは一路海鳴市へと向った。大空を征服したマジンガーZ。
 今のマジンガーZに敵は居ないのだ。





      つづく 
 

 
後書き
次回予告


ショッカーの更に新しい幹部が日本にやってくる事になった。
その名は「地獄大使」。
その知らせを聞いた死神博士は起死回生の策を展開する。
それは恐ろしい兵器であった。

次回「偽の宝玉」おたのしみに 
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