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スーパーヒーロー戦記

作者:sibugaki
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第22話 もう一人の仮面ライダー

「此処がそうか」

 其処は切り立った丘の上であった。その下には町が広がっており青年の目の前に広がっていた。その光景を目にして青年は思わずにやける。

「さぁて、探ってみますか。噂のマスクド・ライダーって奴をねぇ」

 青年はそう言ってぶら下げていたカメラを手に取り、町の風景にピントを合わせてシャッターを切った。




「しかしいきなり猛達が来た時にゃ驚いたよ」

 場所は変わり、此処は喫茶店「アミーゴ」。其処に猛となのは、そしてアルフの三名は来ていた。フェイトは今店の奥にある個室で寝かせてある。

「あれはどう見ても疲労から来る奴だな。まだ若いからって無理すると禄な事になんねぇぞ。気ぃつけな」
「いやぁ、色々と有難うねぇ。家って医療道具置いてないからさぁ」

 頭を搔きながらアルフが笑って言う。事実、あのままマンションに戻ってもどうしようもなかったのは事実だ。必要最低限の物しか置いておらず何かあると大変なのだ。

「それはそうとおやっさん。何で此処にあいつが来てるんですか?」

 用意されたコーヒーを一口啜りながら、本郷は一人離れた席で同じようにコーヒーを楽しむ青年を見た。その青年は見覚えのある顔であった。

「あぁ、俺もさっぱりだ。いきなりやってきて【開いてる部屋があったら使わせてくれ】だもんなぁ」

 おやっさんこと立花籐兵衛は呆れながら其処に座っている青年「滝和也」を見た。その滝はと言うと視線を感じたのかこちらに振り向き笑みを浮かべる。

「お久しぶりです。滝さん」
「よっ、あの時のお嬢ちゃんじゃねぇか。久しぶりだな」
「滝、何故此処に来たんだ?」

 本郷が質問をぶつける。それに対し滝が肩を上げる仕草をしだした。

「此処は本郷猛、あんたの行きつけの喫茶店だ。即ち此処を根城にしてれば自ずとショッカーの事件にぶちあたれると踏んだ。それだけさ」
「だったらちったぁ店の手伝い位しろや。勝手に居座りやがって」
「まぁまぁ、其処はご愛嬌って事でさぁ」

 流石の滝もおやっさんに睨まれたら形無しだった。今追い出されると不味いようだ。FBI捜査官も案外苦労してるようだ。
 と、奥の扉が開き、中からフェイトが現れた。

「ん? もう起きて大丈夫なのかい?」
「はい、ご迷惑を掛けて申し訳ありませんでした」
「迷惑なんて感じちゃいないさ。困ったらお互い様って奴さ」
「だったら俺の方もお互い様って事で」
「お前は別だ」

 アッサリ滝の言い分を払い除けるおやっさん。その際に滝の口から「そんな~」と声がしたのは皆にとって苦笑物であった。

「アルフ、そろそろ帰ろう」
「って、もう帰る気なのかい?」
「これ以上此処に居ても店の人に悪いよ。それに私達には…」

 言葉を言い終える前であった。突如として盛大な腹の虫の音が鳴り出した。誰の音だと皆が視線を巡らす。

「滝、お前…」
「お、俺じゃないっすよ!」
「……」

 皆が滝を疑う中、フェイトは一人顔を俯かせてしまった。どうやら腹の虫は彼女のようだ。

「何だ、はらぺこだったのか。よし、それなら何か食ってくと良い」
「いえ、家で食べますんで」
「まぁ、冷凍食品やインスタント食品ばっかだけどね」

 アルフが笑いながら言う。だが、それを聞いた途端皆の視線がギョッとなる。特におやっさんの顔に至っては信じられないと言わんばかりであった。

「ま、まさかお嬢ちゃん。其処まで生活に困ってたのかい?」
「え? えぇっと…そうじゃなくて…」
「健気だねぇ…その若さでそんなに苦労して…くっ、世の中もまだ捨てたもんじゃないなぁ」

 目に溜まった涙を強引に拭うおやっさん。そして、フェイトを席に半ば強引に座らせると壁に掛けてあったエプロンを身に付ける。

「ちょっと待ってな。すぐに何か作ってやるからさ。その間コーヒーでも飲んでてくれ」

 フェイトとアルフの二人に自慢のコーヒーをそっと置いた後、おやっさんは厨房の中へと引っ込んでしまった。
 フェイトは困ってしまった。本当ならすぐにでも帰ろうと思ったのあが、そんな事をすればおやっさんの好意を無駄にしてしまう。
 仕方なくもう少し此処に居る事にした。

「うえぇ~、あたしコーヒーって苦手なんだよねぇ。苦いだけだし」

 アルフはおやっさんが置いていったコーヒーを見て苦い顔をしていた。どうやら以前コーヒーを飲んで何か嫌な思いでもしたのだろう。

「大丈夫だよアルフさん。立花さんの煎れてくれたコーヒーってとっても美味しいんですよぉ」
「そ、そうなのかいぃ?」

 疑念を抱いたアルフがなのはを見る。なのはもまたおやっさんが煎れてくれたコーヒーを飲んでいる。しかもブラックで。
 あんな幼い子でも飲めるのだからもしかしたら…カップを手に取り軽く啜ってみた。

「ん…美味い! こんな美味いコーヒー初めて飲んだよ!」

 アルフの目が輝く。それに釣られてフェイトも軽く啜ってみる。

「本当だ! 美味しい…苦味もあるけどそれ以上に…何て言うのかなぁ…とっても温かい味がする」

 フェイトも絶賛していた。それ程までに此処のコーヒーは美味しかったのだろう。隣で見ていた本郷もまた嬉しそうに微笑みながらコーヒーを飲んでいた。

「いやぁ、流石はおやっさんの腕前だぜ。こんな小さなお子様を虜にしちまうんだからよぉ」

 滝がそう言ってると厨房から二枚の皿を持っておやっさんが出てきた。皿にはサンドイッチが盛られていた。中には多種多様な具材が詰められており見てるだけで空腹が更に倍増される気がした。

「遠慮するこたぁない。召し上がれ」
「はい、頂きます」
「ほんじゃ、頂きま~す」

 フェイトとアルフは主室に用意されたサンドイッチを一枚掴んで食べてみる。
 すると口一杯に新鮮な具材の味と柔らかなパンの味が広がった。噛めば嚙むほど味が深みを増していく。何時しか二人共言葉を失いサンドイッチを食べ続けていた。
 先ほどまで元気の無かったフェイトの顔色がみるみる内に赤みを帯びた色になっていき、隣に居たアルフもまた元気を取り戻したかの様に目の輝きを増していった。

「はふぅ…」

 気がつけば用意されていたサンドイッチを平らげていた。そして胃袋を中心に感じる幸福感。これが食事なのだろう。今までマンションで行っていたのは単に腹を満たす為だけだったのに対してこれはとても幸福な味だった。

「いやぁ美味かったなぁ。こんなに美味い飯食ったの久しぶりだよねぇ」
「うん、とっても美味しかったです」
「そうかいそうかい、そりゃ良かったよ…そうだ!」

 何を思いついたのかおやっさんは手を叩く。

「どうだいお二人さん。先立つ物も必要だろうし、折角から家でバイトとして働く気はないかい?」
「え!」
「飯代や部屋代は良いからさ。そうすりゃ飯とかに困る事もあるまい」

 確かにそれは願ってもない事だった。この近辺ならジュエルシードの反応があった際に真っ先に動ける。何よりこんな美味しい食事を提供してくれるのだったら是非お願いしたい事だ。

「でも、迷惑じゃありませんか?」
「なぁに、丁度店の手伝いが欲しいと思ってた所なのさ。流石にワシ一人だと忙しい日とか大変だしなぁ。それに、此処に居る宿六は何もしないし」
「って、其処で俺を出しますかぁ!」

 憎たらしそうな目で滝を見る。それには滝も参ったような顔をしていた。
 どうしようかと迷うフェイト。そんなフェイトにアルフが耳打ちする。

(フェイト~、こんな美味しい話乗るべきだよ)
(アルフ…でも)
(此処ならジュエルシードの反応があった場合すぐに動けるし、何よりこんな美味い飯が貰えるんだったら是非だよ。それに…)

 アルフがチラリとなのはを見る。その後再び視線をフェイトに戻した。

(それに此処ならあの子と一緒にジュエルシードを集められるじゃん。一人より二人の方が簡単に集まるって)
(そ、そうかなぁ?)

 純粋なフェイトは仕切りになのはとアルフを見ながら戸惑っている様子だ。だが、アルフの言う事も最もだ。日に日にジュエルシードの力は増している。
 これ以上一人で集め続けるには限界があった。早く集めなければならない。全てが起動してからでは遅いのだ。

「でも、全部集めた後、どうするの?」
「まぁ、あの子に事情を話して譲って貰うか…それが駄目なら、最悪力尽くって奴かな。何にしてもそれはまだ先の話だよ」

 確かにその通りだった。今重要すべきなのはジュエルシードの捜索と封印だ。その後で取り分を決めれば間に合うだろう。暴走してからでは遅すぎるのだ。

「分かった。アルフが其処まで言うんだったら。私は良いよ」
「流石フェイト! 話が分かるぅ!」

 手を叩いて喜ぶアルフにフェイトは優しく微笑んだ。そしてクルリと向きを変えておやっさんの方を見る。

「こちらからも是非お願いします」
「そうかい、そりゃ良かった。これから宜しく頼むよ」
「いやぁ良かった良かった。これでむさ苦しい空気ともおさらば出来るってもんだ」

 滝が突然意味の分からない言葉を発してきた。それに疑念を抱いたおやっさんが滝の方を見る。

「むさ苦しいってどう言う意味だよ滝」
「だってそうでしょ? コーヒーは美味いし飯も最高。だけど持ってきてくれるのが老けたおっさんじゃぁ折角の味も台無しって奴でしょうが」
「滝……お前これからコーヒー代二倍取るからな」
「そ、そりゃ無いっすよぉおやっさぁん!」

 おやっさんの無情なる発言に泣きが入る滝。そんな滝を見て皆が声を出して笑った。何とも微笑ましい光景ではあった。そんな微笑ましい空気を破るかのように入り口の鈴が音を立てる。

「あ、いらっしゃいませ」

 フェイトが入ってきた者に声を掛ける。其処に居たのは一人の青年であった。
 下には黒の長袖シャツを着ておりその上には黄白色のジャケットとズボン、そして同じ色のニット帽を被っている。
 時代は感じられるがそれなりに派手な格好だった。本郷の服装と比べると一目瞭然である。

「おやぁ、この店はマスターしか居ないと思ったけど、随分可愛らしいウェイトレスが居るんだなぁ」
「今日雇ったんだよ。好きな席に座ってくれて構わないよ。今コーヒーを出すから」
「嫌々、折角だけど今は仕事の方を優先しないとね。噂のコーヒーはまた次回って事で」
「仕事って、君は何をしてるんだい?」

 興味をそそられたおやっさんが青年を見る。青年は律儀に懐のポケットから名刺を取り出しておやっさんに見せる。

「一文字隼人……フリーカメラマンか。にしても何だってこの店に? 特にこの店にゃ撮って売れる物なんかない筈…」

 おやっさんの言葉が其処で止まった。確かに今までのアミーゴでなら売れる物はない。が、今は恐らくある。
 今日から働いて貰う事になったフェイトもアルフも結構な美人だ。磨き上げればグラビア雑誌に載れそうな顔つきだ。

「何考えてるか分かんないけど。俺の専門は普通の新聞には載せられないような泥臭い内容が主なんでね。その手の写真が欲しかったんなら別のカメラマンに頼んで頂戴な」
「そ、そうかい…」

内心ホッとするおやっさん。すると隼人は何食わぬ顔で本郷猛の隣に座る。

「俺が今興味をそそられてるのは、ずばりあんただよ」
「悪いが俺は君の期待に応えられるコメントは出来ないが」
「嫌、充分応えられるね。本郷猛……嫌、仮面ライダー!」

 ガシャン! 本郷が持っていたカップを握りつぶしてしまった。そして一文字から距離を開ける。その仕草を見てその場に居た皆も一文字に対して警戒をし始める。

「何で本郷が仮面ライダーだと知ってるんだ? まさかお前…」
「フッフッフッ、ばれちゃぁしょうがない…」

 ゆっくりと席を立つ一文字。そして皆の見える位置に陣取ると、突如両足を踏みしめて構えを取った。両手を斜め右上に構えそれをゆっくりと左上にスライドさせていく。
 左上に来た時点で両手を強く握り締めて肘を折る。

「変身!」

 隼人が叫んだ。その突如、一同が身構える。
 ……暫し時間が経った。が、一向に変化が見られない。誰もが固唾を呑んで見守る。

「ハッハッハッ、冗談ですよ冗談。俺は列記とした人間ですよ。最近巷を騒がせてる怪人じゃありませんって」

 大声で笑い手をヒラヒラさせながら隼人は言った。それを聞いた途端その場に居たなのは、フェイトは勿論おやっさんや滝までもが全員ずっこける。

「く、下らない冗談やってんじゃない! こっちは危うく心臓飛び出すかと思っちまったじゃないか!」
「そうカリカリしなさんなって。あんまり怒ってばっかいると血圧上がっちゃいますよ」
「年寄り扱いすんじゃねぇ!」

 本人は軽いジョークのつもりだったらしいが聞いていた殆どの者は笑えない。特になのはは以前怪人と戦った事があるだけに余計に性質が悪かった。

「び、ビックリしたなぁもう!」
「なのはも大変だねぇ」

 椅子の上でグッタリしてるなのはの肩に触れながらフェイトがそっと声を掛けた。怪人の怖さを知ってるが故にこの手の冗談は冗談では済ませられないのだ。
 スッと本郷が席を立つ。そして店から出ようとした。が、それを一文字が肩を掴んで止める。

「おいおい、まだインタビューしてないんだぜ。ちったぁ聞かせてくれないかねぇ?」
「一文字とか言ったな。命が惜しかったらこれ以上首を突っ込まん方が良い」
「ほぉう、そんじゃ俺の命の心配はしてても此処に居る子達の心配はしないってのかい?」

 後ろ指で隼人がなのはとフェイトを指差した。彼は一体何処まで知っているのか。もし彼がショッカーの事を少しでも知っていたら彼はショッカーに狙われてしまう。
 が、恐らくそれを言った所でこの男は聞き入れる気はなさそうだ。

「一文字、お前に分かるか? 人間の心を持ちながら人間でなくなると言う事の辛さが…」
「生憎、俺は人間なんでそんな悩みは抱いたことがないから分からないね」
「それが普通だ。奴等の犠牲者は俺だけでもう充分なんだ。これ以上首を突っ込むと言うのなら、お前もあの割れたカップの様になる。それが嫌なら今後一切俺に関わるな!」

 キツイ言葉を放ちながら本郷は見せを出て行った。そして外でバイクが遠ざかっていく音がする。恐らくバイクに乗って走り去っていったのだろう。

「にゃろう! そう簡単に諦める一文字様じゃねぇぜ!」

 ポケットの中にメモ帳とペンを仕舞い一文字もまた店を出ようとする。

「待って下さい一文字さん。本郷さんの言ってる事は本当ですよ」
「ん?」

 なのはが引き止めた為か一文字は立ち止まり、なのはの方を見た。

「君、もしかして彼と関わりがあるのかい?」
「私が小さい頃、本郷さんや立花さんにはお世話になった事があるんです」

 なのはは幼い頃に本郷や立花に助けられた事を語った。それは彼女が幼い頃に父士郎が兜十蔵博士の護衛の任務を応じた際に重症を負ってしまった事に起因する。家族全員が店の切り盛りをしている中、なのはだけは幼かった為に一人ぼっちだった。そんな彼女と親しく接してくれたのが本郷であった。また、士郎の喫茶店の師匠とも言える立花籐兵衛の助力もあり喫茶翠屋は今でも繁盛する店にまで盛り返したのだ。
 全てを聞き終えた一文字は持っていたメモ帳とペンを再び仕舞い背中を向ける。

「事情は聞かせて貰った。だけどそれで諦める訳にはいかないんでね。例え危険を冒してでも俺はアイツについて行くぜ」
「おい待てよ。何であんたそんなにムキになるんだ? 少し変じゃないか?」

 今度は滝が止めに入る。すると一文字は振り返り肩を上げた。

「俺が変かい? 俺は俺なりに一生懸命やってるつもりだぜ」
「だからって、あいつと関わるとお前も奴等に狙われる羽目になるぜ」
「知ってるよ。ショッカーとか言うカルトじみた集団だろう。俺が追ってるのは正しくそれだよ」

 的を射ていたかの様に一文字は滝に向かい指を指す。

「どう言う意味ですか?」
「良いかい金髪のお嬢ちゃん。世の中にゃ何でもかんでも拳で解決しようって考えの輩が居るだろう。俺はその逆。俺はこの手でペンを握り、真実を書き記すのさ。その為にはどうしても特ダネが必要なんだ。世間が仰天する様なネタがな」
「まさか、お前……ショッカー相手に告発しようなんて考えてるのか?」

 それこそ正しく馬鹿げた考えであった。ショッカーは既に巨大な組織なのだ。その上彼等は滅多に表沙汰に現れない。しかし確実に世界中に侵食しているのだ。もし、この事を知ってる人間が警察などに通報しても警察は笑って追い返すだろう。彼等は知らないのだ。
 ショッカーの恐ろしさを……

「それでも、世間がショッカーを警戒出来ればそれだけ被害も減らせるだろうが。俺だって考えてやってるんすよ皆様方」
「その口ぶりだと全く考えてるようにも見えないんだが…」

 滝の言い分も最もだったりする。側から見る一文字と言えば何処か人を食ったような、言い換えれば何処か人を食ったような態度を取っている感じなのだ。とてもそんな人間を信用出来るとは言えない。

「ま、そんな訳でさ。俺はあの本郷を追い掛けるぜ。あばよ」

 結局そう言ってアミーゴを出て行ってしまった。このまま放っておいたらあの一文字はきっとショッカーに接触してしまうだろう。

「フェイトちゃん、私心配だからちょっと行って来るね」
「あ、それじゃ私も行くよ!」

 続いてなのはとフェイトも出て行く。おやっさんが引きとめようとしたがその時には既に遅しであった。

「お、おい…ったく、最近の子は人の話を聞かん奴等が多いなぁ」
「さ、さぁて…そんじゃ私もフェイトが心配だから…」
「ちょい待ち! これから忙しくなるからあんたは店番だ!」
「げぇぇっ!」

 アルフがげんなりした。本当ならそんなの願い下げなのだがこれから世話になる以上大きく出られないアルフであったりした。




     ***




 山岳を切り取って作られた道路を本郷の乗ったサイクロンが走っていた。そして、その後ろを一文字の乗ったバイクが走っていた。

「あの男…あれだけ忠告したと言うのに…」

 本郷は溜息をついていた。今から止まって説得した所で無駄だろう。こうなったら速度を上げて巻くしかない。
 本郷はサイクロンのアクセルを全開にまで回す。速度がグングン上がり、やがて速度計は軽く200kmを超えた速度になっていた。
 とても並のバイクでは追いつけない。それは一文字のバイクもまた同じであった。遂には完全に本郷を見失ってしまった。

「参ったなぁ。あんなのに乗ってたんじゃこれから先どうやって捕まえれば良いか……ん?」

 ふと、最寄のガードレールにバイクを止めて不貞腐れていた一文字は見た。それは黒い全身タイツを着た者達がいそいそと何かを運んでいる場面であった。

「なんだぁあの連中は? 真昼間っからあんな格好して恥ずかしくないのか?」

 どう見ても不自然な光景だった。歌舞伎で言う黒子の集団かと思ったがそれも違う。まるで、そう…何かの集団の様にもみえた。一文字は集団が運んでいる物を見た。

「あれは…サボテン? それもメキシコ産の奴だ。あんな物日本に持って来てもすぐ枯れちまうってのに、何考えてるんだあの連中は?」

 一文字は呆けながらそれを見ていた。だが、その表情がすぐさま変わる光景を目の当たりにした。集団の一人が持っていたサボテンを放り投げたのだ。すると凄まじい爆発を起こしたのだ。それには驚いたのか腰を抜かす一文字。

「なんてこった。あのサボテンは爆弾だったんだ。あんな物がそこらじゅうに出回ったらとんでもない事になるぞ」

 一般市民にサボテンの見分けなどつく筈がない。ましてやそれが爆弾なら尚更だ。とめなければならない。本郷は行ってしまった。となれば出来るのは自分しかいないのだ。

「さぁて、一丁拝んでみますか。噂のショッカーって奴を」

 カメラを構えて一文字は山道を下って行った。そしてタイツの集団に見つからないように慎重に道を進んだ。幸いタイツの集団は一文字の存在に気づく事なく施設の中に入って行った。それに続いて一文字も入っていく。
 その直後になのはとフェイトが到着した。が、二人が到着した時には既に一文字が中に入った後であった。

「一文字さん! …フェイトちゃんはすぐに本郷さんを呼んできて。私は一文字さんを連れ戻してくる」
「一人で大丈夫なの?」
「二人一緒に行って二人共捕まったらお仕舞いだよ。それに本郷さんが居ればきっと大丈夫だから」
「分かった。けど、無茶しないでね」

 委細承知し、フェイトは本郷を追って飛び立った。なのはもまた一文字の後を追いショッカーのアジト内に入り込む。
 




     ***




 アジト内はまるで迷路同然であった。その中をタイツ集団などに警戒しながら一文字は歩いていた。手にはしっかりとカメラが握られている。これを無事に終えたら絶対に記事にして世間に公表するつもりだったのだ。
 それが成功すれば、少しでも世間にショッカーの恐ろしさが分かる筈。一文字はそう思っていた。

「あんなのを見せられた後じゃ気合も入るわなぁ」

 一文字はアミーゴに来る前にある人物達と出会っていた。それは、ショッカーの被害に会いながらも命かながら生き延びた生存者たちだった。彼等は必死になってショッカーの危険性を訴えた。
 だが、結果は散々だった。世間はショッカーなどと言うカルトじみた名前など信じないし、警察に行っても門前払いを食らうだけ。最終的には彼等は精神障害者などと言う不名誉なレッテルを貼られる始末であった。
 そんな彼等を見た時、一文字の中に激しい怒りがこみ上げてきた。彼等の努力を無駄にする訳にはいかない。口で駄目なら確実な証拠を出せば良い。その思いを胸に一文字はひたすらに通路内を歩いていた。

「此処は?」

 一際広い部屋へ出る。一面瓦礫だったのを荒く改造した様な作りだった。どうやらこの部屋はある一種の牢獄のようだ。その証拠に削り取られた部屋内には幾人もの人達が捕らえられていた。

「あ、あんたは?」
「通りすがりのフリーカメラマンさ。それよりあんた等何で此処に?」
「ショッカーに捕まったんです。奴等はメキシコ産のサボテン「メキシコの花」を使って日本中のダムを爆破しようと企んでるんです」

 それを聞いた一文字は戦慄した。そんな事をすればダムに蓄積された大量の水が溢れ出し付近の町は大パニックに陥る。死者も相当出る筈だ。
 何としても止めなければならない。

「待ってろ、俺が必ず助け出す。そのメキシコの花って奴もついでにぶっ壊してやるとすっかぁ」
【それはどうかな?】
「!!!」

 迂闊だった。どうやら自分は既につけられていたようだ。振り返ると其処には数人のタイツが立っており、その中央には奇怪な姿をした怪人が立っていた。

「出たなぁ怪人。まさかお前さんから会いに来てくれるたぁなぁ」
「ふん、たかだか人間風情が我がショッカーのアジトをうろつくとは、貴様相当の命知らずのようだな」
「生憎、戦場カメラマンをやってると自分の命の心配なんかする気も起きなくなっちまってねぇ。お前さんらの悪行の数々を手に入れて世間に公表しようって思ってた所さ」

 自慢のカメラを掲げながら一文字はニヤリと微笑む。だが、それに対してこの怪人はほくそ笑んでいた。

「それがどうした? そんな事をしても我等ショッカーは痛くも痒くもないわ」
「何!?」
「我等ショッカーは世界中に存在して、影から世界を操っているのだ。だが、それも少しばかりの間だけ。いずれは全世界を我等ショッカーが手に入れる!」
「はっ、その割にはこの狭い島国一つまともに占領出来てない様子じゃないか」
「この国には仮面ライダーを筆頭に幾多の障害がある。奴等を葬らない限りショッカーに未来はない。だからこそのこの作戦を邪魔させる訳にはいかんのだ!」
「そうかい、だったら余計に邪魔したくなってきたぜ」

 そう言って一文字は構える。それはとても型に嵌った構えであった。恐らく、この男は何かしら武術をやっていたと思われる。

「ふん、口の減らない男だ。構わん、殺せ! 我等ショッカーを見た者は例え女子供であろうとも皆殺しだ!」

 怪人サボテグロンの命を受け数人の戦闘員が一文字に襲い掛かった。

「へん、この一文字隼人様を舐めるんじゃねぇ!」

 言う通りの展開になった。迫り来る戦闘員を次々と薙ぎ倒していくその様は正しく圧巻であった。

「えぇい、たかだか人間風情に何をしている。もう良い、こうなれば俺直々に始末してやる」
「来い、サボテン野郎!」

 サボテグロンに殴り掛かる。だが、一文字の拳は怪人の頑強な皮膚の前には無力であった。全く効いた感覚がない。寧ろ殴った拳が痛む。
 ならばと蹴りを放つも同じだった。全く効果がない。一気に追い詰められてしまった。

「その程度か人間。所詮貴様等人間の力などその程度よ」
「くっ!」
「前にも言った筈だ。我等の姿を見た者には、死有るのみ!」

 サボテグロンが持っていたサボテン状の剣を振るう。唸りを上げて飛んできたそれをまともに横腹に受けた一文字は壁に叩きつけられてしまう。
 そのままズルズルと地面に崩れ落ちる一文字を残っていた戦闘員が捕まえてサボテグロンの前に跪かせた。

「気分はどうだ? 人間。我等ショッカーの偉大な力を見た感想は?」
「あぁ、余りに凄すぎて脇腹が痛ぇよ。ちっとは手加減してくれないのかい? こっちはか弱い人間なんだしさぁ」
「どうやら軽口を叩く余裕はあるようだな。だが、それもこれまでだ! 死ねぃ!」
【待て、サボテグロン!】

 トドメを刺そうとした時、何処からか声がした。恐らく部屋内に設置されたスピーカーから発せられたのだろう。

「こ、これは死神博士!」
【その男、一文字隼人を連れて来い。その男を改造人間にしてやろう。さすれば憎き本郷猛を凌ぐ改造人間になる筈だ】
「ははっ、運の良い奴だ。あの死神博士のお目に適うとは羨ましい限りだ」
「ふざけんな! さっさと一思いに殺せ! 改造人間なんざまっぴらだ!」
「そうはいかん。貴様は栄光ある我等ショッカーの尖兵となるのだ。そして憎き仮面ライダーを仕留めるのだ! ヒヒヒヒヒィー!」

 薄暗い牢屋内にサボテグロンの不気味な笑い声が響き渡った。戦闘員を引き剥がそうにも体中に力が入らない。先ほどの一撃がまだ効いているようだ。

(畜生…俺とした事が、こんなつまらんドジ踏んじまうなんてよぉ…全く、ついてねぇや)

 先ほどの一撃が相当効いたのか、静かに一文字は目を閉じた。




     ***




 頭がぼぅっとする。

 まるで体の感覚がないみたいだ。

 目の前には眩しい明かりが見える。
 
 そして、その回りには白衣を着た男たちが何人もメスを持っている。

 俺を切り裂いているのか? 俺は一体どうなっちまったんだ?

「う…うぅ…」

 目を覚ました一文字が回りを見る。其処はショッカーの手術室であった。そして、自分の手足が拘束されているのを感じた。

「やい! 俺をどうしようってんだ!」
「一文字隼人。貴様は今日から人間を超えた存在に生まれ変わったのだ」
「何だと!」
「貴様の体をよく見ろ!」

 言われた通り一文字は自分の体を見た。すると自分の腰辺りには何処かで見覚えのあるベルトが装着されているのだ。
 白いバックルに紅い風車。間違いない。これは仮面ライダーが巻いていたベルトだった。

「な、何で俺が…このベルトを…」
「貴様は我等ショッカーの改造人間となったのだ。それも、初期に作った本郷猛のそれとは更に性能が上がった最高の仕上がりになぁ」
「お、俺が…俺が改造人間に…嘘だ! そんな訳ない! 俺は人間だ!」
「嘘かどうか、これで試してやろう」

 薄気味悪い笑みを浮かべながら研究員は壁にあるレバーを倒した。すると体全体に激しい痛みが走る。

「ぐわああぁぁぁぁぁ! な、何しやがったんだてめぇぇぇ!」
「貴様の体に5万ボルトの電流を流したのだ。普通の人間なら黒こげだろうが貴様はその程度で済んだ。貴様の体には傷一つつかん。痛みを感じるのは脳改造が終わっていないからだ」

 目の前が真っ白になった気がした。自分は人間でない存在となってしまったのか。だとしたら俺は一体何者なんだ。ショッカーとか言うカルトじみた組織の一員になってしまったというのか。
 そんな思いが一文字の中をグルグル駆け巡っていた。

「直ちに脳改造手術を開始せよ! そしてその男を本郷猛と戦わせるのだ!」
「そうはさせん!」

 その直後、手術室に影が入り込んだ。その影は回りに居た白衣の研究員たちを次々と薙ぎ倒していく。

「あ、あんたは…仮面ライダー」
「お前…その姿は…」
「へへっ、ざまぁねぇや。あんたの忠告を無視して突っ走っちまった結果がこれだぜ…嬉しいかい? 仲間が出来てさ」
「馬鹿野郎……なんでこんな無茶をしたんだ」

 仮面ライダーは手を震わせながら一文字の頬に触れた。手には奇妙な傷の感触があった。触れられた一文字もそれを察する事が出来た。

「なぁ、俺の顔って、どうなってんだ?」
「今のお前の顔には、改造手術の影響の傷が浮かび上がっている。恐らく俺の戦闘データを元に改良型の改造手術をした際の反動だろう」
「そうか…へへっ、これじゃ誰が見ても化け物だな」

 一文字は薄笑いを浮かべた。もう自分は人間ではない。人間として生きていけない。そんな考えが浮かんでしまったのだ。

(一文字……俺は、俺はお前を助けなければ良かったのかも知れない。そうすれば、お前は脳改造され、何も考えないショッカーの一員となっていただろう。だが、俺はお前を助けてしまった。それは、永遠に続く地獄にお前を巻き込んでしまった事になる)
「済まない、一文字…」
「??? 何であんたが謝るんだ」

 疑問に感じた一文字が問うた。

「俺は、お前を助けなければ良かった。そうすれば、お前は脳改造をされ何も考える必要のないショッカーの一員になっていただろう。その方が、今のお前とっては幸福だったかも知れない」
「俺の幸福だって? 冗談じゃねぇ。そんな不自由な幸福なんざ御免被るぜ。それより、俺も改造人間って事は、あいつ等をぶちのめせる力があるって事だよな」
「何が言いたいんだ?」

 疑問をぶつける仮面ライダーの前で一文字は自身を拘束していた拘束具を無理やり引き千切った。
 そして、決意の篭った眼差しで仮面ライダーを見た。

「俺も一緒に行ってやるよ。その地獄って奴によ」
「一文字…お前!」
「さぁてと、そんじゃさっさと此処からおさらばしようぜ。此処の近くに牢獄がある。其処にはまだ人が大勢捕まってるんだ。そいつらを助けたい。手伝ってくれるか?」
「勿論だ」

 まだふらつく一文字を担ぎ、仮面ライダーは道を急いだ。だが、その前に再びサボテグロンと戦闘員達が姿を現す。

「おのれ仮面ライダー! またしても我等の作戦の邪魔をする気か!」
「ショッカー! お前たちの思い通りにはさせない! この俺が居る限り貴様等が栄光を手に入れる事はない!」
「ほざけ! こっちには人質が居るのだ! 俺様の命令一つで人質は全員木っ端微塵に爆発するぞ!」
「ぐっ!」

 ショッカーお得意の人質作戦だった。古い手だが効果は抜群だ。その証拠に仮面ライダーの動きが止まってしまった。

「ヒヒヒヒヒィー! 貴様等二人纏めて脳改造をしてやる! そして今度こそ我等ショッカーの閲兵となるのだ!」

 ゆっくりとサボテグロンが近づいてくる。
 背後から桜色と金色の閃光が放たれた。それは戦闘員達に命中し吹き飛ばす。

「な、何だ!?」
「なのはちゃん、それにフェイトちゃんも!」

 後ろに居たのはデバイスを構えていたなのはとフェイトであった。

「本郷さん、本郷さんが言ってたメキシコの花は全部破壊しました!」
「人質も皆助けましたよ」
「お、おのれぇぇぇ! 何故だ? 貴様等がアジトに入った形跡はない筈! 一体どうやって?」
「カメラの位置はバルディッシュが教えてくれた。だからそれに移らないように移動しただけ」
「誰も居なかったから凄い楽だったよ」

 誤算だった。まさか潜入したのが仮面ライダーだけではなかったとは。
 直後、激しい振動が感じられた。どうやらアジトが爆発するようだ。

「どうやらこれで終わりの様だな。このアジトももう使い物になるまい」
「おのれぇ! こうなれば貴様等を道連れにして死んでやる!」
「おい、どうやったら俺もお前みたいに変身出来るんだ?」

 一文字が仮面ライダーに囁いた。それに対して仮面ライダーは渋った。
 変身するにはベルトのバックルに風を受けなければならないのだ。だが、此処では風が少ない。とても変身するだけのエネルギーは得られないのだ。

「此処では無理だ。風を受けなければ変身は出来ない」
「そうかい、つまり変身ポーズとかもない訳だな」

 そう言うと仮面ライダーから離れた一文字は突如、構えを取った。それは以前アミーゴで見せたのと同じ構えであった。

「え? 一文字さん」
「まさか…」
「そ、ヒーローに変身ポーズはお決まりだろう。こんな風に…」

 またしてもアミーゴで見せたのと同じ動きを見せた。そして最後に静かに叫ぶ。

「変身!」

 最早性質の悪い冗談にも思えた。だが、その時一文字のベルトの風車が猛烈に回転しだしたのだ。それは今まで本郷がバイクに乗り風を受けていた時の数倍である。

「な、何!」
「おっ、やってみるもんだねぇ。まさかこんなポーズでよかったとは…人生挑戦してみるもんだ」

 ニヤリを微笑み、そして跳躍した。すると一文字の姿がみるみる内に変わっていく。
 ダークグリーンの仮面に紅い目。その姿は正しくもう一人の仮面ライダーであった。

「か、仮面ライダーが二人だと!」
「その通り、俺はフリーカメラマン、一文字隼人。又の名を…【仮面ライダー2号】」
「に、2号?」
「って、何で2号なんですか?」

 幼い二人には意味が分からず首を傾げていた。そんな二人に向かい一文字は指を鳴らす。

「こう言う時は必然的に1号、2号って言うじゃん?」
「え、でも他にもないんですか? 例えば【01】とか【Z】とか…」
「あ~、そう言うのは覚えが悪いから良いの。覚えやすいし、何より良いじゃん。何か2号出たぁって感じがしてさぁ。そもそも2号ってのは1号よりも…」

 その後もくどくどと一文字の薀蓄は続いていた。が、流石に呆れたのか仮面ライダーがそっと手を置く。

「薀蓄も良いが、そろそろ出ないとアジトと心中する羽目になるぞ」
「マジで! そいつぁ御免だぜ!」
「待て仮面ライダー! 俺様と心中しろ!」
「嫌でござんす! 死ぬならてめぇ一人で死ね!」

 言うや否やサボテグロン目掛けて飛び掛った。硬く握り締めた拳をサボテグロンの顔面に叩き付ける。

「ヒヒィィィィ!」

 悲鳴を上げながらぶっ飛んでいく怪人。それを見た2号はポカンとしていた。

「今更ながら凄い力だなぁこれ…さしづめライダーパンチってか」
「分かったからさっさと逃げるぞ」
「あいあい」

 感傷に浸っている2号を引っ張り、四人はアジトを抜け出した。その直後に大爆発が起こり大規模な地盤沈下が起こる。幸いその付近に民家は無く只ショッカーのアジト一つが壊滅しただけに留まった。
 その光景を四人は山道から眺めていた。

「やれやれ、あんな物騒な連中が世界中に居るとなると、恐ろしくて震えちまうねぇ」
「だが、俺は戦わなければならない。人類の未来の為に…ん?」

 ふと、一文字が本郷の背中を叩いている感覚に気づく。振り向くと一文字が自分を指差していた。

「俺…じゃねぇ。俺達…だろ?」
「一文字…」
「なっちまった以上は仕方ねぇ。こうなったらとことんまでやってやるさ。その仮面ライダーって奴をよ。だから宜しくな。1号」
「俺の方こそ。共に戦おう! 2号」

 本郷と一文字が互いに硬く握手を交わした。その光景をなのはとフェイトは見ていた。

「あれが男の友情なんだねぇ、フェイトちゃん」
「そ、そうなのかなぁ? そうなんだよね、きっと」

 よく分からないが納得しておく事にした。

「さ、早くアミーゴに帰ろう。今日は新しい仲間の誕生を祝って乾杯だ」
「おう、噂の立花印のコーヒーを頂くとすっかぁ」

 四人は帰り道を走った。新たな仲間、仮面ライダー2号が此処に誕生した。本郷だけじゃない。彼の仲間達にとって、これ以上ない心強い仲間の誕生であった。
 だが、ショッカーの魔の手は何時迫るか分からない。人類の自由と平和を守る為、戦え! 仮面ライダー1号! そして、仮面ライダー2号!






     ……その頃




「はい、サンドイッチお待ちぃ! はいこっちはコーヒーにアイスシャーベットねぇ。おい滝! そんな所で油売ってないで皿洗え! アルフちゃんは第3テーブルの皿下げてくんなぁ!」
「ってぇ、FBI捜査官に皿洗いさせるかぁ普通!」
「フェイトォォォォ! 早く戻ってきてよぉぉぉぉぉ!」

 喫茶アミーゴは相変わらず人気だったと言う。




     つづく 
 

 
後書き
次回予告

新たな仲間が加わった。
その頃、鉄の巨人は大空へと羽ばたこうとする。
真紅の稲妻と共に

次回「紅い稲妻! 空飛ぶマジンガーZ」

お楽しみに 
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