西遊記
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第二回 孫悟空混世魔王を倒すのことその八
「涅槃に至ることがです」
「終わりかといいますと」
「まだです」
さらにというのです。
「道があります」
「むしろはじまりですね」
「仏として」
「仏はさらに修行を積み」
「より多くの力を得てです」
そうしてというのです。
「より多くの命を救います」
「それが仏です」
「ですから」
ここで、でした。釈尊は今度は弥勒菩薩をご覧になられました。そうして菩薩に対してこう言われたのでした。
「貴方がおられます」
「修行を続け」
「そして五十六億七千万年後にです」
「この世の全てを救います」
「そうして頂きます」
是非にというのです。
「その時は」
「承知しています」
菩薩は釈尊に確かな声で頷かれました。
「ですから今もです」
「修行をされていますね」
「今より多くの力を得て」
「そしてですね」
「そうしてです」
そのうえでというのです。
「あらゆる世界の全ての命を救います」
「お願いします。ですから」
再び金蝉子にお顔を向けて仰いました。
「貴方もです」
「時が来れば」
「人界に生まれ変わって頂き」
そしてというのです。
「働いて頂きます」
「その様に。しかし」
ここで金蝉子はこう言われました。
「私はかつて釈尊のお話の時に」
「そのことですか」
「ついうとうととして」
「あの様なことは誰でもあります」
釈尊は笑って言われました。
「私もありました」
「釈尊もですか」
「悟りを得る前は幾度も」
そうであったというのです。
「数えきれないまでに」
「まさか」
「いえ、霊的な存在にならねばです」
さもなければというのです。
「身体があればどうしても眠る必要がありますね」
「飲んで食べることもまた」
「そうですから」
だからだというのです。
「誰もが必然的に眠くなり」
「うとうともしますか」
「左様です」
そうだというのです。
「どうしても」
「そうなのですね」
「それで私もです」
「そうなられたことがありましたか」
「何度も。問題は自分から寝ないことです」
そうであるというのです。
「うとうととしても寝ない様に頑張ることです」
「眠くとも」
「ですから眠くならない様に」
その為にというのです。
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