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西遊記

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第二回 孫悟空混世魔王を倒すのことその四

「身外身の術、毛の一本一本をわしにしたのじゃ」
「これも仙術か」
「他にも仙術を備えておるがな」
 余裕を以て言うのでした。
「この術もある、驚いたか」
「くっ、この程度」
「そしてわしは絶対に約束を守る」
 悟空はこうも言ってきました。
「お主を一撃で倒してやろう」
「むっ?」
「受けよ!」
 高々と跳んででした、日光を背負い。
 悟空は拳を振り被りました、そしてです。
 急行かを仕掛け魔王の左頬に一撃を浴びせました、その拳を受けるとです。
 魔王は思いきり吹き飛ばされ左から右に跳んで地面に落ちました、そこから何度も転がってそのうえで、でした。
 気絶しました、そうして言いました。
「わしの勝ちだな」
「・・・・・・・・・」
 気絶した魔王は喋れません、ですが。
 悟空はその魔王にところに寄ってです、声をかけました。
「起きよ」
「むっ、その声は」
「わしだ、起きたか」
「だから喋っておる」
 魔王は意識を取り戻して仰向けに転がったまま答えました。
「寝言ではなくな」
「うむ、そうだな」
「何と、わしは負けたのか」
「わしの一撃でな」
「こんなことははじめてだ」
 起き上がりつつ答えました。
「わしが負けるなぞ」
「ではこれがはじめての負けだな」
「何ということだ」
「それでだ」
 悟空は起き上がる悟空の前で腕を組んで立って言いました。
「負けを認めるな」
「事実だからな」
「負ければそれを認めるのも誇りだという」
 悟空は微笑んで言いました。
「それが出来ぬ者はだ」
「真の誇りがない者だ」
「恥も知らぬな」
「わしは誇りも恥も備えておる」
 再び立ち上がった魔王は毅然として言いました。
「だからな」
「負けを認めるな」
「そして約束を守る」
 そうもするというのです。
「必ずな」
「だからだな」
「それでだ」
「わかっておる」
 魔王は毅然とした答えました、そしてでした。
 大声で手下の魔物達を呼びました、そのうえで事情をお話しますと魔物達は口々に魔王に言いました。
「魔王様がそう仰るなら」
「わし等は魔王様にお仕えすると決めています」
「それならです」
「魔王様のお言葉に従います」
「そう言ってくれるか、ではな」
 魔王は手下達にそれならと応えました。
「今からな」
「はい、それではです」
「孫悟空様にお仕えしましょう」
「これからは」
「その様にな、話は決まりました」
 魔王は手下達と共に悟空に向き直って言いました。
「これよりです」
「わしの家臣になるな」
「約束します」
 手下達と共に片膝を付いて跪き右手を拳、左手を平にして胸の前で合わせて礼をしました、こうしてでした。
 魔王と手下達は悟空に仕えることになりました、悟空は魔王を自身の将軍の一人として魔物達は猿達と同じ立場としてでした。 
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