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西遊記

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第二回 孫悟空混世魔王を倒すのことその五

 捕らえられていた猿達も救い出しました、そして花果山に戻って全てをお話してこう言ったのでした。
「こうしてわしはあの山の王にもなった」
「おお、二山の王ですか」
「それは何より」
「嬉しいことですな」
「全くじゃ、それでじゃ」
 悟空はさらに言いました。
「昨日の敵は今日の友でな」
「それで、ですな」
「これよりはですな」
「あの山の魔物達ともですな」
「親しく付き合いじゃ」 
 そうしてというのです。
「絆も深め同じわしの国の者としてじゃ」
「生きるのですな」
「猿も魔物も」
「そうするのですな」
「わしは仙人になる為に弟子入りしたな」  
 猿達にこのこともお話しました。
「猿の弟子はわしだけでな」
「他は人間ですか」
「猿だったのは王様以外で」
「他の者はですか」
「そうであってな」
 それでというのです。
「わしは平気であったが奇異な目で見られもした」
「そうだったのですか」
「そうした環境でしたか」
「仙人様のところでは」
「それで仙童からはいつも大丈夫かと気遣われたが」 
 兄弟子であったその者にというのです。
「実際に平気だったのでそうだと答えたが外見や種族が違うとな」
「それで、ですか」
「奇異な目で見たりしますか」
「そうしますか」
「そうしたことがあるがな」 
 世の中にはというのです。
「しかしじゃ」
「そうしたことはせぬ」
「決して」
「そうあるべきですな」
「だからじゃ、魔王も手下の魔物達もわしの臣民となったからにはな」
 猿達と同じくというのです。
「仲よくせよ、よいな」
「わかりました」
「それではその様に致します」
「王様が言われるのなら」 
 猿達も頷きました、こうしてです。
 孫悟空は二つの山の王となりそれぞれの国を治める様になりました、昼は皆で遊び夜は酒を飲んでそのうえで寝る日々を過ごしました、ですが。
 天界ではです、天帝が天蓬元帥と捲簾大将それに三太子について仏界から来られた釈尊について言われていました。
「あの三人は、ですか」
「はい、やがてです」
 釈尊は帝と向かい合って座られ共に精進酒に食事を楽しまれながら言われました。
「大きなことを為します」
「朕もあの者達は修行をすれば」
「より強く聡明になりですね」
「大いな神になると思い」
「共にですね」
「修行に出す時を考えていますが」
「そこにです」
 釈尊は微笑んで言われました。
「あと二人です」
「揃えばいいですね」
「三人はそれぞれです」 
 元帥、大将、太子はというのです。
「あまりにもそれぞれの気が強いので」
「強過ぎる位ですな」
「それぞれの気そのものと言っていいまでに」 
 そこまでというのです。 
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