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蒼と紅の雷霆

作者:setuna
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紅白:第十話 第二データ施設

 
前書き
機械にもセプティマが発現するなら本編に出ていたらどうなっていたんだろうか 

 
ソウとパンテーラがパスコードの片方を入手して戻ってきたことでアキュラも早速行動に移す。

「スメラギの重要データが集まるデータ施設…そこになら、俺達が探し求めるパスコードもあるはずだ。スメラギが秘匿するバタフライエフェクト…その保管場所へ入るためのコードがな…」

「でも、それだけ大事な施設なら、セキュリティも相当な物ではないでしょうか?」

ソウが向かった第一データ施設は既に閉鎖されていた施設だったために警備は他の施設と比べて緩かったので潜入には何の問題はなかった。

しかし、アキュラが向かう第二データ施設は現在でも使われている施設なので当然警備はそれの比ではないはずだ。

「危険は承知の上だ。俺には、どうしても見つけなければならない物がある…」

ジンの心配に対してアキュラは何でもなさそうに言う。

危険を冒してでもやらなければならないのだ。

「アキュラ君…アキュラ君がそこまでして探す物が何なのか…私には分からないけど…でもどうか、無理だけはしないでね…」

「…善処しよう。」

コハクに対して甘くなりつつある自分を自覚しながらアキュラはロロを伴って出撃した。

「あら?コハクに対しては随分と素直ですね。普段からこれくらい素直ならまだ可愛いげがあるのですが」

「止めろ、素直なあいつなど吐き気がする。」

好き放題に言う(それだけの理由がこの2人には充分過ぎる程にあるのだが)この2人を何時か必ず討滅することを心に誓いながら第二データ施設へと足を運んだアキュラ達。

『昼夜問わずスメラギの重要データが集まるデータ施設…ここなら、バタフライエフェクトの保管場所へ入るためのパスコードが見つかるはず!奥に進んで、重要データが入ってそうな端末を見つけよう!』

「ああ、どうやらシャッターが閉じているようだが、制御盤を破壊すれば通れるはずだ。」

アンカーネクサスとオービタルエッジを主軸にアキュラは制御盤を破壊しつつ先に進む。

高い捕捉性能を持つアンカーネクサスならば光学迷彩で隠れている敵も捕捉しつつ、攻撃出来る。

床や壁に敷き詰められているトゲもアキュラのジャケットのブリッツダッシュとホバリングには無意味。

『よーし!オンステージだ!!』

ロロの【ストレス☆アラーム】の歌が響き渡り、進んだ先のシャッターを潜ると大型のメカが道を阻む。

「ロロ、アンカーネクサスだ」

『了解!行くよーっ!』

上空で高速移動をしようが追尾性能を持つアンカーネクサスの糸からは逃れられない。

このタイプのメカには真上への攻撃手段がかなり限られるためにホバリングでメカの真上を取りながらショットを放ちつつ、アンカーネクサスでのブリッツダッシュによるホーミングアタックでダメージを与え、ダメージを受け過ぎたメカは耐えきれずに床に落下して爆発を起こした。

「討滅完了だ。先を急ぐぞ」

『了解、アキュラ君!絶対にパスコードを手に入れてコハクちゃん達の所に帰ろうね!』

アキュラだけではなく、ロロにとってもコハク達は大切な存在になりつつある。

故に目的も含めて絶対に生きて帰るのだ。

開いたシャッターを潜ってスメラギ兵やメカを返り討ちにしながら先に進むと、ゲートモノリスを発見した。

「ゲートモノリスを発見した。破壊して先に進むぞ」

『うん……?』

「どうした?ロロ?」

『あ、さっき少しセンサーに反応があったんだけど…何もないね…気のせいかな…?』

周囲を見渡しても何もなく、アキュラは念のためにアンカーネクサスを起動してみたが何の反応もない。

「もしかしたらメンテナンスに不備があったかもしれんな。少し我慢しろ、基地に戻ったら精密検査をする」

常にロロのメンテナンスは気を付けているつもりだったが、ロロは未だに未知の部分があるセプティマが動力や性能に大きく依存しているので些細な誤作動が命取りになる。

『うん……(本当に…気のせいなのかな?少し感じた反応のあった場所から凄い感情を感じた…)』

モード・ディーヴァのロロは歌を歌うだけでなく、複製元の電子の謡精同様に精神感応にも長けており、センサーに反応があった場所から激しい怒りと深い哀しみを感じたのだ。

まるで大切な物を奪われたかつてのアキュラのような感情を。

ゲートモノリスを破壊して先に進むと、今度は高出力レーザーを放ってくる砲台が姿を現す。

『アキュラ君!』

「ドラフトスパイラルだ」

咄嗟にバクトのEXウェポンである螺旋エネルギーの竜巻を発生させるドラフトスパイラルで真上に移動し、レーザーを回避する。

『回避成功!』

「他にもあるかもしれん。アンカーネクサスで捕捉し、撃破する」

『OK、アンカーネクサス!』

アンカーネクサスを起動させると、やはり他にも砲台が存在しており、ブリッツダッシュでの突撃後にオービタルエッジを起動して砲台を破壊する。

『このまま強行突破だ!アキュラ君!』

「分かっている」

敵の攻撃は激しくなっていくが、アキュラは攻撃をかわしながら突き進む。

『アキュラ君、あそこじゃない?』

ロロが指差した先にあるシャッター。

それを発見したアキュラはそこに飛び込むと、そこには大型の端末があった。

『大型端末発見!データ解析、始めるね!』

「ああ、任せた…」

データ検索をロロに任せて、アキュラは敵が来ないか警戒する。

『………データ検索完了。ビンゴ!パスコードを発見したよ!後はこれを持ち帰るだけだね!』

アキュラが頷いた瞬間にシャッターがロックされ、見覚えのある男が姿を現した。

『させません。』

『君は、前に重力能力者と一緒にいたヒューマノイド?』

そう、かつてアキュラに倒された重力のセプティマホルダー・インテルスの秘書であったヒューマノイド・ダイナインであった。

『イクス…あなたには感謝しなければいけません…貴方のおかげで、私は“怒り”や“悲しみ”と言った、極めて高度な感情を理解することが出来たのですから…』

「感情だと?」

確かにヒューマノイドにはある程度の学習AIを搭載しているが、ロロのような人間を思わせる感情を手に入れるにはお粗末な物なのだ。

『元々私は、ありふれた量産型ヒューマノイドに過ぎませんでした。しかし、機械でありながら偶然にもセプティマを発現させることが出来たため、お嬢様の目に留まり、秘書として仕えることが出来たのです。』

『ロボットがセプティマを…?それって、僕と同じ…?』

擬似と本物の差はあれど同じセプティマを扱うロボットであるダイナインにロロは驚く。

『あの時の私のセプティマは、芽生えたばかりの、微弱な物でした…だが、今は違う!コントラクト!!』

感情的に叫んだことでダイナインの声にノイズが混じる。

そして、羽根ペンを取り出して契約したダイナインは変身現象を発動するとどこか牛を彷彿とさせる戦闘形態へと移行する。

『お嬢様を手にかけた…お前に対する“復讐心”!その感情が、私のセプティマ“偏向布巾(ベクタードクロス)”を成長させたっ!この力で私は…お嬢様の仇を討つ!』

「……俺には為さねばならないことがある。ここで死ぬわけにはいかん」

アキュラが銃をダイナインに向けるとダイナインはマントを揺らしながら構えた。

『来なさい』

アキュラはまずは相手をある程度知るためにショットを数発放った。

しかし、それはマントによって弾かれてしまい、壁を破壊するだけで終わる。

そして壁の破片がマントに触れると勢い良く弾かれた。

どうやらエネルギー系どころか物理的な物のベクトルも偏向するらしい。

「(奴の防御を貫くエネルギーか威力が必要だな…)」

『刺突っ!』

エネルギーの剣を構えて突撃してくる。

ブリッツダッシュで回避しながらアンカーネクサスで攻撃する。

ダイナインは咄嗟にマントで弾こうとするが、高速スピードを加算したエネルギーのベクトルを偏向することが出来ずに防御を貫かれる。

『ぐっ!?』

『効いてるよアキュラ君!』

直撃と共にロックオンしており、アキュラは即座にショットを連射する。

ダイナインの防御を以てしてもロックオンショットは防げず、ダイナインのボディにダメージを蓄積させていく。

確かアンカーネクサスはインテルスの弱点でもあったはずであり、倒された主人と弱点が同じなのは皮肉だ。

『己…っ!』

槍のように巻いたマントを投擲するダイナイン。

初擊を回避するが、壁を反射してくるマントに対応仕切れずに拘束されてしまう。

「くっ…!」

『受けなさい!』

剣で拘束されたアキュラを一閃し、ダメージを与える。

フェイクカゲロウを無力化され、アキュラのジャケットに裂傷が走る。

『アキュラ君!オービタルエッジ!!』

『っ!』

インテルスのEXウェポンを起動してダイナインにロロが攻撃するとダイナインの動きが硬直し、ダイナインの防御を貫いてダメージを与えた。

その隙にアキュラはダイナインとの距離を取った。

「すまないロロ…助かった。」

『ううん、気にしないで…あいつ…あの重力能力者の武器も弱点みたいなんだ……』

セプティマには相性があるが、精神的な物も含まれることがある。

主への想いが自分の弱点となるのはダイナインにとってとんでもない皮肉だろう。

『これが…怒り…っ!』

しかし、逆にそれはダイナインの戦意を上昇させる。

インテルスの仇であるアキュラがインテルスの力を使うことにダイナインの怒りは高まっていく。

『………』

ロロはそんなダイナインを複雑そうに見つめる。

今のダイナインはロロで例えるならアキュラを殺されたロロのような物なのだ。

自分の存在意義である主を失ったロボットには居場所は存在しない。

『お嬢様の力を…お嬢様の仇であるお前が利用するなど…っ!あってはならないっ!!』

マントを高速で伸ばして複数の巨大なパイソンに変化させる。

アキュラはブリッツダッシュで回避し、パイソンを回避してアンカーネクサスでダメージを与えつつロックオンする。

そしてすかさずロックオンショットでダイナインにダメージを与える。

「…やはりな…」

アキュラはこの僅かな戦闘でダイナインが戦闘慣れしていないことを理解する。

アキュラがインテルスを倒したのはつい最近だ。

それまではダイナインのセプティマは戦闘まで出来るレベルの物ではなく、インテルスの元で秘書をしていたのだ。

ある程度の戦闘データはインストールしてはいるのだろうが、それと実戦は別だ。

実戦によって磨かれたセンスと蓄積された経験に勝るものはない。

次にダイナインは姿を消した。

恐らくセプティマを利用した光学迷彩だろう。

しかし、光学迷彩だろうとアンカーネクサスの捕捉からは逃れられない。

投擲された光剣をかわしながらアンカーネクサスでダメージを与えながらロックオンショット。

アンカーネクサスを併用してのショットなのでダイナインの動きが明らかに鈍くなる。

『ダメージレベル…危険域…SPスキル・スタンバイ…』

SPスキルの発動体勢に入ったダイナイン。

アキュラは距離を取りつつすぐに動けるように警戒する。

『光なき世界(シャットザワールド)!!お覚悟を!!』

壁と天井にはカーテンを、地上にはカーペットを敷いた後、地上から津波の様に広範囲にマントを発生させる。

アキュラはブリッツダッシュで真上に移動し、アンカーネクサスで捕捉すると攻撃する。

ダイナインも動き回りながらマントを発生させるが、追い掛けるようにアキュラもアンカーネクサスからのロックオンショットを当てる。

ダメージによりダイナインのボディに無視出来ない損傷が入り、ダイナインの動きが更に鈍くなる。

「これで終わりだ」

『イクス…お前は…私が…っ!』

最後の足掻きとばかりにマントの波が激しくなる。

「ロロ、リミッターカット」

『モード・アウェイクニング!!』

エネルギーを纏ったビットが高速でダイナインを斬り刻み、最後に2人が交差してとどめを刺す。

『ぐあっ!お嬢様…』

SPスキルを受けたダイナインは光に包まれて消滅した。

通常の状態に戻ったロロが複雑そうにダイナインがいた場所を見つめていた。

『あいつ…ダイナインって言ったっけ…僕みたいなロボット…初めて会った…道が違っていたら、あいつとも仲良く出来たのかな…』

「ロロ…」

『ううん、何でもない。それより、早く帰って、みんなを安心させてあげよ!』

アキュラとロロは追っ手が来ないうちに第二データ施設を後にした。 
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