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西遊記

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第一回 孫悟空生まれるのことその十四

「彼は大いに動くでしょう、そして」
「そして?」
「そしてといいますと」
「大きなことを成し遂げます」
 そうするというのです。
「神界だけでなく仏界においても」
「我等にもですか」
「大きなことをしますか」
「そうなのですか」
「そして人界にも」
 こちらにもというのだ。
「するでしょう」
「あの、それでは」
 お釈迦様のお言葉を聞いてです、御仏達の中から一人の仏が言ってきました。神々しい後光を背負いとても優しいお顔をしている御仏です。
「あらゆる世界にですね」
「観世音菩薩の言う通りです」
 お釈迦様はその御仏に答えられました。
「あらゆる世界にです」
「大きなことをしますか」
「そうします」
「そこまでの猿ですか」
「只の猿ではないですね」
 お釈迦様は菩薩に言われました」
「そもそも」
「はい」
 菩薩もその通りだと答えました。
「何しろ石から生まれたのです」
「霊的に」
「そうでした」
「その生まれからしてそうであり」
「只の猿ではなく」
「修行をせずともです」
 仙人になるそれのというのです。
「何百年も生きているのです」
「それならですね」
「最早です」
「はじめから只の猿ではなく」
「そしてです」
 そうであってというのです。
「仙術も備えましたので」
「大きなことをしますか」
「必ず」
 そうだというのです。
「他にも多くの仲間を得て」
「仲間もですか」
「あの猿だけでなく」
「先程五行を言われましたが」
「他の仲間達もですね」
「得てです」 
 そうしてというのです、お釈迦様は御仏達に仰いました。
「そしてです」
「大きなことを為しますか」
「では我々はですね」
「その際どう動くか」
「何をすべきかですね」
「その時に考えられ」
 そしてというのです。
「動いて下さい」
「わかりました」
「それではです」
「我等も考え動きます」
「その時に」
「そしてやがて人界にです」
 お釈迦様はさらに言われました。
「私の弟子だった者が生まれ変わり」
「人界に出るのですか」
「釈尊の弟子だった方が」
「そうなるのですか」
「そうです、その国がまだ乱れている時に生まれ」
 そうしてというのです。
「泰平を迎えた時にです」
「その時にですか」
「その弟子だった方が出られ」
「そうしてですか」
「志を持って」
 そうしてというのだ。 
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