西遊記
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第一回 孫悟空生まれるのことその十三
「その様にする」
「若し大事がありましても」
「思えば二郎真君も哪吒三太子もいるしな」
「あの者達もいますし」
「そなた達もいる、それにな」
「元始天尊と太上老君もおられます」
先程お名前が出たというのです。
「さすればです」
「天の主の朕はな」
「そうされて下さい」
「ではな、しかし朕も動かねばとならぬ時があるが」
しかしというのでした。
「その時もまただな」
「釈尊も言われるでしょう」
「そうなるな、ではな」
「ご自重を」
神界ではこうしたお話が行われました、そして仏界では釈尊がまた御仏達に対して言われていました。
「さて、あの猿ですが」
「孫悟空と名付けられ」
「仙人となりました」
「不老長寿となり」
「多くの術を身に着けました」
「そうなりです」
そしてというのです。
「花果山に戻りましたね」
「そうしました」
「筋斗雲に乗って」
「そしてです」
「また遊ぶつもりです」
「はい、ですが」
それでもというのです。
「このままずっとあの山の麓で遊んで暮らすか」
「それはですか」
「わからないですか」
「そうなのですか」
「それはなりません」
そうだというのです。
「孫悟空はあまりにも火の気が強いです」
「まさに火そのもの」
「非常に強いですね」
「火の気が」
「そうした者ですね」
「だからこそです」
それ故にというのです。
「火は特に激しい気であるので」
「留まれません」
「その気が強いと」
「一つの場所には」
「そうなってしまいます」
「ですから」
悟空はそうであるからだというのです。
「あの者は山にはです」
「長くいられないですか」
「また何かありますか」
「そうなりますか」
「騒動が起こるか起こして」
そうしてというのです。
「そのうえで、です」
「動きますか」
「それも騒がしくですね」
「騒動となると」
「はい」
その通りだとです、釈尊は答えられました。
「そうなります」
「そうなのですね」
「確かに山を出ましたし」
「仙術まで備えましたし」
「ですからこれからです」
まさにというのです。
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