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西遊記

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第一回 孫悟空生まれるのことその十二

「あの山で起こったことが今度だ」
「大きなことになりますか」
「そうなるともな」
「言われていましたか」
「うむ、しかし朕自ら出ることはないとな」
「言われましたか」
「釈尊からな」
 そうであったというのです。
「神界の主である朕がな。ただ元始天尊や太上老君になると」
「あの方々ならですか」
「出ることもあるという」
「その方々となりますと」
 金星も流石に驚きを隠せず言いました。
「かなりのことですな」
「そうであるな」
「どちらの方も万歳老に次ぐ方々です」
「そうであるからな」
「その方々が出られるとなると」
「やはり相当だ」
「左様です」
 まさにというのです。
「そうしたことが起こりますか」
「どうもな、若し朕が出るとなると」
 ここで帝は龍顔即ち帝のお顔を動かされました、見れば切れ長の鳳眼と呼ばれる目で真っ赤なお顔をしていてお髭は濃くお腹に届くまで長く奇麗です。
「それには及ばぬという」
「万歳老が動かれますと」
 ここで真っ赤な服に兜に鎧、戦抱即ちマントを羽織った真っ赤な髪の毛を持つ若い武将の姿をした火徳聖君が言いました。
「それはです」
「最後の最後であるな」
「はい、万歳老はこれから一時です」
「人界においてな」
「一つ働かれます」
「関羽雲長となってな」
「そうして人の世に大きな足跡を残されますが」
 そうするがというのです。
「その武勇はです」
「人界に残るまでだな」
「その武器を使われ」
 聖君即ち火星は言いました、この神様は火星の神様なのです。
「存分に戦われ」
「そうなるな」
「その青龍偃月刀を使われ」
「これ程重いものはなく」
 天帝はその武器を手に言われました。
「強いものはない」
「扱えるのは万歳老だけでして」
「朕がこれを使い戦うとな」
「誰も勝てませぬ」
「そうであるな」
「その万歳老が出られるにはです」
 それはというのです。
「及びませぬ」
「そうであるか」
「はい、ですから」
 それでというのです。
「釈尊もそう言われていますし」
「釈尊が間違えることはないしな」
「ここは何がありましても」
「朕は動かぬことだな」
「ご自重を」
「それではな」
 天帝は火星の言葉に頷かれました。 
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