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金木犀の許嫁

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第六十三話 結婚すべきでない人その八

「自分だけで勘違いしてね」
「そう考えてですね」
「そしてね」
 その結果というのだ。
「そんな風に思って」
「そうなったんですね」
「そう、絶対にとんでもなく甘やかされたのよ」
「お家の中で」
「おんば日傘みたいな感じで常に上座に置かれて」
 そうしてというのだ。
「そうなったのよ」
「私達より遥かに甘やかされたんですね」
「偉い偉いって感じでね」 
「そうだったんですね」
「それでも五十でもこうだったっていうから」
「五十でそれはないですね」
 白華も有り得ないといった顔だった。
「流石に」
「そうよね、何が偉いのかね」
「この世で一番なんてもう、です」
「有り得ないから」
「五十になってそんなこともわからなかったんですね」
「兎に角自分が偉いって思いたいだけの」
 ただそれだけのというのだ。
「一生だったのよ」
「それで働かないで何もしないで、ですね」
「生きていったのよ」
「そんな人も確かにそうはいないです」
「そうよね」
「それで今は行方不明ですね」
「そうなのよ」
 実際にというのだ。
「これがね」
「流石にそんな人にはなりたくないですし結婚も」
 そうして一緒に生きることもというのだ。
「無理です」
「誰だってね。別れた奥さん仕事しないことはよかったそうよ」
「えっ、それならです」
 その話を聞いてだ、白華は驚いて言った。
「人生凄く楽です」
「奥さん働いてお金稼いでくれるからね」
「それならです」
 白華は言った。
「もう主夫になって」
「生きていけるわね」
「人生イージーモードじゃないですか」
「それで普通の人格ならね」
「幸せに暮らせますね」
「それがそんな人で」
 これまで話した様なというのだ。
「逃げられたのよ」
「偉そうに言うだけで何しなくて出来なくて」
「気遣いもなくてね」
「相談に乗らなくて一緒に旅行も行かない」
「本当に何の感謝も思いやりもなくふんぞり返っているだけだったから」
 だからだというのだ。
「逃げられたのよ」
「そういうことですね」
「まあこんな人は滅多にいないから」
「しかもそこから全くよくならないので」
「相当酷くないとなれないしね」
 滅多にいないだけでなくというのだ。
「うちの学校でもここまで酷いとなると」
「遠井さん裏切った陸上部の二人ですね」
「それと振った人とそのお友達ね」
「どの人も学園で有名な嫌われ者じゃないですか」
 白華も彼等のことは知っていて言う。
「最低だって」
「そう、最低過ぎてね」
 それでというのだ、真昼にしても今話している者達には好感情なぞ全く抱いていないのでこう言った。
「皆嫌ってるわ」
「そうですよね」
「うちの学園生徒物凄く多いけれどね」
「普通科、商業科、工業科、農業科、水産科、看護科、特進科、スポーツ科ってあってね」
 夜空がその学科を出してきた。 
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