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金木犀の許嫁

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第六十三話 結婚すべきでない人その七

「自業自得、因果応報で」
「報いも受けるわね」
「犯罪やったら捕まってね」
「刑罰も受けるわね」
「それで何処からあらためるわよ」
 その考えや行いをというのだ。
「自分さえよければいいで底意地悪い奴なんて誰も付き合わないでしょ」
「冗談抜きで嫌われるわね」
「そいつに何かあってもね」
 それでもというのだ。
「助けないでしょ」
「誰だってね」
「そうなって思い知る時もあるでしょうし」
「今お話している人がまさによね」
「奥さんに三行半突き付けられたし」
 離婚されたことを昔の言葉で表現した。
「借金して家賃も払えずね」
「そうしたこともあったのよね」
「暮らしていた団地も追い出されて」
「あちこちに助けを求めてもよね」
「突っぱねられてホームレスになってね」
「痛い思いしているわね」
「けれどこの人は何があってもね」
 それでもというのだ。
「変わらなかったのよ」
「最低なままね」
「餓鬼になってね」
「そうだったから」
「それでね」
 そうであってというのだ。
「今は行方不明よ」
「そんな人は確かに滅多にいないですね」 
 白華は何度も頷いて述べた。
「何があっても反省して心を入れ替えないなんて」
「生きていて何の努力もしなくてね」
「威張ってばかりで」
「それで何があっても変わらない」
「本当に稀ですね」
「だから今野垂れ死にしているかも知れないけれど」
 それでもというのだ。
「その人を知っている人は誰もそれでいいってね」
「思ってますね」
「誰も探さないし」
 そうなっていてというのだ。
「死んでればいいとさえね」
「思ってますね」
「そうなったのよ、この世で一番偉いと思い込んでいても」
 自分自身がというのだ。
「その実はね」
「誰からも見捨てられて死んでいていいと思われる」
「そんな人になってるのよ」
「いや、何がどう偉いのか」
 白華は首を傾げさせて言った。
「わかりません」
「長男さんだからよ」
「いや、長男だったら」 
 真昼にそれならと話した。
「お兄さんもです」
「佐京君もね」
「長男ですが」
「全然偉そうじゃないでしょ」
「偉いと思っていません」 
 全くというのだ。
「むしろ謙虚です」
「それで修行も欠かしていないわね」
「まだまだ至らないから」
 そう考えてというのだ。
「尚更ね」
「努力していて」
「自分を高めようとしています」
「そう、別に長男でもね」
「偉くないですね」
「けれどその人は甘やかされて」
 それでというのだ。 
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